定年後に、自由な時間が増えてからゆっくりと趣味や楽しいことを探そうと思っても、そのタイミングでは遅すぎることがたくさんあります。人間の意欲や思考を司る前頭葉は、「脳の司令塔」と呼ばれていますが、40代から50代で委縮が始まるのが一般的です。
60代になってから楽しいことを探そうとしても、その時点ではすでに意欲や好奇心が低下しており、若い頃と同じ気力で動くことは難しくなっています。楽しみを先送りしたところで、期待したほどの面白さは得られないのが現実です。
これら3つの特徴は、仕事を人生の中心に置いている人が直面している「副産物」といえるかもしれません。その結果、今を楽しむことができず、自分の人生を味気ないものにしている可能性があるのです。
「定年」とは労働からの解放
日本と海外では、定年に対する向き合い方にも大きな違いがあります。
海外では、定年は「労働からの解放」とポジティブに受け取られていますが、日本では、「会社から追い出される」とか、「仕事がなくなる」など、ネガティブな側面ばかりに目を向けがちです。こうした考え方の違いが、定年後の生活にも影響を与えているように思います。
定年制度とは、「鉄血宰相」と呼ばれたドイツのビスマルクが1890年代に始めたもので、「平均寿命まで生きた人は労働から解放してあげよう」という考え方に基づいて、年金とセットで定年制度がスタートしました。
これをきっかけとして、ヨーロッパの国々に、「十分に働いてきた人を、働かなくても食べられるようにする」という文化が広まったといわれています。
労働を意味する「labor」という英語には、苦労、苦痛、疲労を伴う行為という意味があります。定年を迎えると、苦労や苦痛から解放され、お金の心配をせずに、自分の自由に暮らすことが、彼らにとっての老後の生活となります。


※ログイン後、コメント入力が可能です。