時間をかけて練り上げた「完璧な答え」が、いざ動こうとした瞬間には、すでに的外れになっている――これは珍しい話ではありません。現場では「完璧さ」より「早さ」が命を守る。私が経験した自衛隊の現場でも、これは鉄則でした。
有事や災害派遣といった極限の状態では、教科書通りの正解を待っている余裕はありません。刻々と変わる状況のなかで、いまある情報をもとに「その時点で最善と思われる判断」を下し、即座に行動に移すことが求められます。
完璧ながらも遅すぎる判断より、不完全でも迅速な判断のほうが、結果的に多くの事態を好転させることを身をもって学びました。
仕事の正解は「あとから決まる」もの
「正しいかどうか」を考え続けるより、「いま動けるかどうか」が問われる。これは命の現場でもビジネスの現場でも同じです。とくにスピードが重視される環境では、「時間をかけて100点のアウトプットを目指す」よりも、「60点でいいから素早く形にし、状況に合わせて修正していく」ことのほうが評価されます。
なぜなら、仕事の正解は最初から決まっているものではないからです。動いて、修正して、調整して、その結果としてあとから「あれが正解だった」と定義される。正解は「探すもの」ではなく、「つくられるもの」なのです。
にもかかわらず、多くの人が動けなくなるのは、「100点以外は失敗だ」という霧に包まれるからです。
「100点を出せなければ、能力が足りない証拠」
「評価が下がる原因」
そう思い込んでしまいます。しかし、仕事の目的は点数を取ることではなく、「仕事を回すこと」です。100点を目指して抱え込み、仕事を止めてしまうことこそが、組織にとっても、自分にとっても、いちばんの損失になります。
この負のループに陥らないコツは「仕事における合格点を意図的に低く設定する」ことです。これは、手を抜くという意味ではありません。出来栄えよりもまず「外に出す」「形にする」ことを最優先にしているだけです。
1人で完璧を目指すより、早い段階で外に出し、周囲のフィードバックをもらいながらブラッシュアップしていくほうが、最終的な成果物の質は確実に高くなります。


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