朝ドラ「ブラッサム」では、宇野千代をモデルとした葉野珠(演:石橋静河)が、継母リョウ(演:国仲涼子)から「珠様」と呼ばれて、大切に育てられている。継母のリョウがいつでも珠の一番の味方でいたのは、実際の千代と継母リュウとの関係を踏まえたものなのだろう。
以前に偉人たちの親の言葉に着目した『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』という本を書いたことがある。子の才能を育んだ親の言葉はいくつかのタイプがあるが「自信を培う親の言葉」として、鉄鋼王カーネギーの父、フランスの詩人ヴィクトル・ユゴーの父、室町時代の僧である一休宗純の母の言葉を取り上げた。
「わしは、お前を誇りとしているんだよ」
(カーネギーが青年時代に父に言われた言葉)
「お前はヴォージュの最高峰でつくられた。はじめから高い空の何かだ」
(ユゴーが自分の詩を読んだ父からかけられた言葉)
「釈迦や達磨をも見くだすほどの人になれば、俗世でも苦しくはないでしょう」(一休宗純が幼少期に母と離れるときにかけてもらった言葉)
千代にとっては、幼少期からリュウがきょうだいの姉として自分を特別視してくれたことが、どれだけ自信につながったことだろうか。千代の我が道をいく強さは、そんな継母との関係で育まれたものだったのかもしれない。
伝説化された父の「ヒヨコのイタズラ」
一方の父の俊次はといえば、放蕩無頼そのもので、賭け事が大好きな遊び人だった。あるとき花街の「半月庵」という料亭では、料理番と一緒になってイタズラをしたという。
それは「客の吸物椀の中に、かえり立てのヒヨコを入れておく」というもので、客が椀の蓋をとったらビックリ仰天。ヒヨコがピヨピヨと鳴いて出てきた……そんな逸話も残っている。
千代はこのヒヨコの逸話を「父のために作られた伝説の一つ」と真偽のほどはわからないとしている。周囲でそんなエピソードが語られるほど、豪快、かつ、行動が読めない人物だったのは確かそうだ。
朝ドラ「ブラッサム」では、娘の珠に横暴な振る舞いをする父・葉野清治の暴君ぶりが描かれた。上記のヒヨコの逸話も物語に取り入れられていたが、実像のほうが強烈だったかもしれない。
ドラマでは、清治がいきなり珠の縁談を決めてきて、強引に受け入れさせる様子が描かれた。実際にはさらに理不尽な背景があったようだ。


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