もうひとつ見逃せないのは、今回取り上げられた番組の性格だ。「エイジレスボーイズ」は、年齢を重ねても若く見える人の秘密を探る、アンチエイジングのバラエティである。ABEMAの番組ページでは、板野さんの回は「AKB時代から若返った」と話題の人として紹介され、ストイックな美容も公開するとされている。視聴者が美しさや若さを期待して見ていても、不思議ではない。
人は、期待から外れた行動に強く注意を向ける。外れ方が好ましく受け取られれば好意が、そうでなければ反感が強まる。これは、対人コミュニケーションの研究で知られる「期待違反理論」と呼ばれる考え方だ(※4)。食卓に直接当てはめた研究ではないが、見た目への反応を考える手がかりになる。
美の文脈で見ていた視聴者の目に、生活感が飛び込んだ。「映え」を期待した人には違和感に、飾らない姿を好む人には親近感になった可能性がある。
「自分はOK、あの人はNG」を生む脳のクセ
ここで手がかりになるのが、心理学で「行為者—観察者バイアス」と呼ばれる傾向だ。人は自分の行動を「そうせざるをえない状況だった」と説明する。ところが他人の同じ行動は、「そういう人だから」と性格や人柄で説明しがちだという(※5)。
象徴的な投稿がある。ある人は、自分の家では普段パックのまま出しており、ちょっと良い肉で「映え」を意識するときは皿に盛り直すと書いていた。そのうえで、板野さんについては「そういう発想が本当にないんだな」と感じたと書いている。


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