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下請け・女性・高齢者・障害者を短絡的に「弱者」扱いしていいのか?…必要なのは「弱者」にしない対策

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車椅子に座る高齢者
「弱者」とはいったい何なのだろうか(写真:Ushico/PIXTA)
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人間独特の弱者としては、高齢者もその範疇に入る。多くの野生動物は、自力でエサをとれなくなれば生存は不可能だ。また、産卵の数日後に死亡するサケのように、遺伝子の働きによって“老い”が許されない生物もいる。セミも同じで、1~6年ほど幼虫として地中で過ごしたのち、産卵のために成虫となるが、その期間は長くても1カ月ほどに過ぎない。

小林武彦『なぜヒトだけが老いるのか』では、人間に“老い”が存在する理由として、出産と子育ての負担が格段に重いためとの説明がされている。この負担を軽減する役割を担うのが出産と子育てを経験した“おばあちゃん”であり、それによって「元気で長生きな家族ほど、子どもを持てるキャパシティが増え、子だくさんになった」というのである。小林はこれを「ヒトの長寿についての進化的な『選択』が働いた」と説明している。(『「弱者」の経済学』3ページより)

この仮説に従うなら、“子育ての助っ人”としての役割を終えた時点で人生を全うしたことになる。しかし実際には、福祉や医療サービスの恩恵を受けながら、人間はそのあとも病気や怪我で亡くなるまで生き続けられる。当たり前のようにも思えるが、実際のところこれは人間独特の生物的弱者と考えることができる。

他方、こうした生物的な“老い”を社会的な弱者にしてしまうこともある。それは、一定の年齢に達したときに定年という制度により社会活動からの撤退を余儀なくされる高齢者のことである。まだ稼働能力があるにもかかわらず、終身雇用や年功賃金などといったしくみがあることにより定年が必要となり、それをもとに医療、介護、年金といった制度が国によって設けられている。(『「弱者」の経済学』4ページより)

病気により機能不全が生じる「医学的弱者」

この定義があてはまるのは、病気によって身体に機能不全が生じている人だ。ただし、加齢による慢性期の疾患を抱える人は、生物的弱者に該当する。

遺伝子の変異によって筋肉が壊れていく筋ジストロフィーの患者は、典型的な医学的弱者であると著者は述べている。筋ジストロフィーは幼児期に発症し、次第に筋力が衰え、最終的にはほぼ寝たきりの状態になってしまう。筋肉破壊が心臓まで到達するデュシェンヌ型の場合は、若くして死に至ることも多いそうだ。成長期に筋肉が劣化していくという、本来とは逆の道をたどるわけである。そのため、心理的なダメージも大きい疾患といえるだろう。

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