強く共感できる。そもそも、なにをして弱者と呼ぶかは当人の主観によるところが大きい。たとえば私は、障害ではないものの歩行に多少の困難がある。パーソナルジムに通って補正に精を出しているが、そんな私も他の誰かから見れば弱者となる可能性がある。
ちなみに、悲しげな表情で「かわいそう……」と言われたこともあるのだが、著者も指摘しているように「かわいそう」をなにも考えずに口に出せる人間を私は軽蔑している。
そもそも弱者には、確固たる定義があるわけではない。そこで著者は本書において、なにかと曖昧に語られることが多い弱者を4つのカテゴリー(生物的弱者、医学的弱者、相対的弱者、立場的弱者)に分類し、弱さが弱者へとつながるメカニズムについて説明している。そのうえで、“弱者にしない対策”を提案しているのである。
ここでは、それら4つのカテゴリーを確認してみることにしよう。読んでいただければ、弱者の輪郭を理解していただけるかもしれない。
人間独特の「生物的弱者」
その代表格は子どもである。サバンナでしばしば肉食獣の捕食の対象となるのは、体力の乏しい子どもである。もちろん、人間の子どもが他の動物から狙われることはない。だが、大人に比べて免疫力が弱いため、さまざまな病原体の攻撃を受けやすい。(『「弱者」の経済学』2〜3ページより)
例を挙げよう。厚生労働省「人口動態統計」によれば、出生数1000人あたりの乳児死亡率は1926年では137.5人という高さだったそうだ。
2023年にその数は1.8人まで下がっているが、とはいえ成人にくらべれば子どもは生活力が乏しい。他者の物理的な助けがなければ生存しづらいという側面があるため、他の生物と同様の意味において弱者と位置づけることができるわけだ。


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