たとえば、重い荷物を抱える代わりに親子で手をつないで登園する。園に着けば、慌ただしく準備を済ませるのではなく、家庭での子どもの様子を保育士に伝える。
「『そこまでして育児を楽にする必要があるのか』と言えるのは、逆にそれほど余裕がある方なのかなという感じです」
関原さんが「余裕」にこだわるのには理由がある。自身もまた、余裕を失っていた時期があったからだ。
ディズニーランドでも仕事の携帯を手放せなかった
「ペルソナが自分自身だったんです」
そう語った関原さん。銀行員時代、人事部で社員の異動を担当していた。誰を、どの部署へ動かすのか。一つひとつの異動に責任を持ち、なぜその配置なのかを説明できるようにしたいと考えていた。そのため、一件の異動を決めるのに何時間もかかり、仕事が深夜に及ぶこともあった。
休日になれば長時間眠り、家族でディズニーランドへ出かけても業務用携帯を手放せない。出かけようとした矢先に電話が入り、そのまま出勤することもあった。
「自分自身が、一番心に余裕がなかったと思います。『何のために仕事しているんだろう』と思う部分はありました」
では、関原さんのいう「心の余裕」とは何なのか。子どもの話を聞く場面を例に挙げる。
「大人なら10秒で結論を出せることでも、子どもにきちんと耳を傾けようとすると、堂々巡りになり、何分たっても結論が出ないことがあります。
親が先回りして決めるのではなく、子ども自身の口から出てきた言葉を大事にする。それが心の余裕だと思いますし、子どもの成長にもつながるのではないかと思っています」
関原さんは、こうした考え方を、効率を求めすぎる現代への「ちょっとしたアンチテーゼ」だと話す。


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