当時、家庭には双子の息子と、その2歳下の娘がいた。朝7時過ぎには銀行に入り、帰宅は23時や24時。育児に関われる時間はほとんどなかった。それで「せめて保育園への送りぐらいは」と朝の送迎を担当するようになったが、これが想像以上に大変だった。
自転車の後ろには子ども2人を乗せられるトレーラーを付け、チャイルドシートにはもう1人。3人分の着替えなど大量の荷物を載せ、坂道を約15分走る。月曜日や金曜日には布団カバーも加わった。しかも、園に着いても終わりではない。
「最初は連絡帳をどこに入れるのかも分からない。予備の服を丸めて、名前の書いてあるタグを付けて、決められたところに入れないといけないんです」
3人は別々のクラスだったため、同じ準備を3クラス分繰り返す。すべて終えるまで、約30分。朝の送迎を通じ、それまで見えていなかった登園準備の煩雑さを知った関原さんは、ある疑問を抱く。
「自分みたいに、こういう負担があるから育児に参画しにくいと感じているお父さんもいるんじゃないか」
会社員としての将来への物足りなさと、育児の現場で見つけた課題。その二つが重なり、関原さんは人事部時代の同僚で、現在は共同代表を務める今井裕也さんに相談した。
「月8000円でも使いたい」その声が起業の後押しに
関原さんは今井さんの大学時代の知人が経営する神奈川県内の保育園に協力を依頼。2人は銀行員として働きながら、土日を使ってテストマーケティングを始めた。
「その段階で、ある母親から『私だったら、これに7000円とか8000円払っても利用したい』という言葉をいただいて。一人でも、それだけ熱烈に使いたいと言ってくれる人がいるのであれば、そこを突き詰めるべきだと思いました」
さらに保護者以上に、保育士も喜んだ。園児ごとに着替えを管理し、間違った家庭へ入れていないかチェックする。着替えが足りなければ保護者へ伝える。そうした仕事が減った。


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