臨床開発を30年以上経験
――今年6月、代表取締役に就任しました。10人の取締役のうち3人が代表権を持つ形となりますが、自身にはどのような役割が期待されていると思いますか。
1つは、経営に臨床開発の経験者としての視点を入れることだ。
2022年に日本事業ユニットへ行くまでは、30数年間にわたって臨床開発(人に薬剤を投与する臨床試験を実施する開発段階のこと)の仕事をしてきた。これまで第一三共では、研究出身者がボードメンバーになることが多く、(17~23年まで社長を務め、会長を今年退任した)真鍋社長の時代など、5人中3人が研究畑ということもあった。一方、開発畑で代表取締役になるのは、私が初めてではないか。
臨床開発の担当者は、研究者以上に患者さんに近いところで仕事をしている。開発中の薬が患者さんにどんなインパクトをもたらすかを医療従事者と一緒にディスカッションしたり、データを集めるために患者さんのカルテを見せてもらうこともある。カルテの中には、本人の人生が詰まっているようなものもある。当社として「患者中心主義」を重視する中で、この経験が大いに生きてくる。
もう1つは、ジェンダーの多様性だ。女性の社内取締役としては、25年に私が就任したのが初めて。そのとき同時に、オンコロジー(がん)ビジネスを統括するアメリカ出身のケン・ケラーも就任しており、取締役会の多様性は大きく前進したといえる。
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