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ビジネス #第一三共 「抗がん剤帝国」への苦闘

第一三共「女性&開発出身で初」の新代取の素顔 結婚後に現場を離れるが復帰を志願…「患者の近くで働いた経験生かす」

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今年6月に代表取締役に就任した上野司津子氏。臨床開発の現場で培った経験を、どう経営に生かすのか(撮影:梅谷秀司)

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世界的な抗がん剤メーカーを目指し、構造改革を進める第一三共。6月には、眞鍋淳(すなお)・代表取締役会長(72)が退任。同社の代表取締役は、留任した奥澤宏幸社長(63)と、新たに選出された2名が加わり、計3人体制となった。
新任の代表取締役の1人が、旧第一製薬出身で人事・広報畑を歩んできた松本高史氏(62)。そしてもう1人が、旧第一製薬が事実上買収したサントリーの医薬品事業出身で、日本事業トップの上野司津子氏(61)だ。
役員人事を発表した2月のリリースには、「ジェンダーや国際性の面を含む、取締役の多様性を確保」することを重視したと説明されている。「多様性」という側面では、上野氏は同社初の女性代表取締役だ。同業他社では武田薬品工業でも、アメリカ系韓国人で女性のジュリー・キム氏が今年6月、代表取締役社長に就任している。さらに上野氏は、臨床開発の経験者としても第一三共初の代表取締役となる。
上野氏はこれまでメディアや機関投資家の前に登場することが少なく、その人物像はあまり知られていない。どんなキャリアを積み、会社をいかなる方向へと導く考えなのか。本人を直撃した。

臨床開発を30年以上経験

――今年6月、代表取締役に就任しました。10人の取締役のうち3人が代表権を持つ形となりますが、自身にはどのような役割が期待されていると思いますか。

1つは、経営に臨床開発の経験者としての視点を入れることだ。

2022年に日本事業ユニットへ行くまでは、30数年間にわたって臨床開発(人に薬剤を投与する臨床試験を実施する開発段階のこと)の仕事をしてきた。これまで第一三共では、研究出身者がボードメンバーになることが多く、(17~23年まで社長を務め、会長を今年退任した)真鍋社長の時代など、5人中3人が研究畑ということもあった。一方、開発畑で代表取締役になるのは、私が初めてではないか。

臨床開発の担当者は、研究者以上に患者さんに近いところで仕事をしている。開発中の薬が患者さんにどんなインパクトをもたらすかを医療従事者と一緒にディスカッションしたり、データを集めるために患者さんのカルテを見せてもらうこともある。カルテの中には、本人の人生が詰まっているようなものもある。当社として「患者中心主義」を重視する中で、この経験が大いに生きてくる。

もう1つは、ジェンダーの多様性だ。女性の社内取締役としては、25年に私が就任したのが初めて。そのとき同時に、オンコロジー(がん)ビジネスを統括するアメリカ出身のケン・ケラーも就任しており、取締役会の多様性は大きく前進したといえる。

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