この考え方を龔氏は、1回の測定の精度ではなく長い周期での精度と呼ぶ。GT 7とWATCH 6に新しく入った「からだステータス」は、この考え方をそのまま機能にしたものだ。睡眠と前日までの運動量を材料に、その朝の回復の度合いをスコアにする。3日以上着け、夜間も3時間以上着けていないと、スコアそのものが出ない。
測り続けてもらうために龔氏が挙げた条件は4つある。身に着けたくなるデザイン、壊れない信頼性、長い電池持ち、そして使い慣れたアプリとの連携だ。このうち電池持ちについては、電池そのものの設計と、光学式センサーを含む部品の消費電力を抑える設計の両方で稼ぐと説明した。
高尿酸リスクの判定機能(日本では未提供)を加えたとき、同社は新しいセンサーを点灯させなかった。心血管や高血糖のスクリーニングですでに取っているデータを流用し、ウォッチが待機している時間にアルゴリズムを回して結果を出す。測る項目が増えても電池の減りが増えないようにするこの設計を、龔氏は「システム工学設計」と呼び、精度と電池持ちを両立させるうえで最も重視していると述べた。
指先で測るのは血管が多いから
WATCH 6の「Health Glance」は、手首の裏側のセンサーで常時測る受動的な計測に、側面の「X-TAP」センサーに指を置いて測る能動的な計測を組み合わせた機能だ。手首の裏側だけでも血中酸素は10秒以内に測れる。それでも指先を使う理由を、龔氏は血管の密度で説明した。指先は手首より血管が密で、集中治療室の血中酸素計が指に着けるのと同じく精度を出しやすい。
ただし、指を当てている間はほかのことができない。だから常時計測の代わりではなく、精度を優先したい場面で使う位置づけだという。測定時間を60秒にした経緯も、ユーザーの観察から決めている。最初の目標は90秒だったが、1分を超えると途中でやめる人が出た。技術的にはさらに縮められるものの、ユーザーに聞くと「60秒でよいから測れる項目を増やしてほしい」という答えが返ってきたため、60秒のまま項目を増やす方向に研究を切り替えた。


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