有料会員登録
ライフ #廃墟モールの経済学

「このエリアは発展する」予想は当たったが…イオンタウン擁する"官民連携の新拠点"に揺らぐ「千葉の脱駅前モール」の示唆

9分で読める
千葉県旭市サンモール
地元企業が開発・運営していた「サンモール」(写真:筆者撮影)
  • 坪川 うた ショッピングセンター研究家・ライター
2/5 PAGES

大新産業は、旭市に本社を置いていた地元企業である。JR旭駅周辺の中心商店街からつながる県道と、国道126号が交差するエリアに用地を取得し、パチンコ店、飲食店、旅行会社などの街区開発を行っていた。国道沿いのこのエリアが将来発展すると見込んでいたのだ。

その中心として、1982(昭和57)年4月に扇屋ジャスコを核テナントとした「サンモール」をオープン。42店舗のテナントには、地元店、県内有力店、ナショナルチェーンをそれぞれ3分の1ずつ入れた。中心商店街へつながる県道側には、南欧風の建物を並べた専門店街「サンモール通り」をつくった。

こちらも非日常的な空間を演出している(写真:筆者撮影)

日本ショッピングセンター協会は、大新産業のことを「行政的な開発力に限界のある地方都市での"地域発展を考えた民間デベロッパー"として、地元商業者の活動の場を考えた本格的SCを発想」したと紹介している。(『ショッピングセンター』1982.9)

一方、合併前で人口4万人弱だった旭市では「サンモール」の出店計画を受け、「商圏のわりに規模が大きすぎる」「商店街の客を持っていかれるのではないか」と不安や反対の声が挙がっていた。「サンモール」はJR旭駅から徒歩10分弱で、中心商店街から少し離れていた。

これに対し大新産業は、「旭市内には5000台の車があるが、現在の中心商店街では収容し切れない。郊外型SC(ショッピングセンター)は必要だ」と主張していた。(『日経流通新聞』1979.7.19)

JR旭駅の周辺には複数の商店街が連なっているが、道が狭い通りが多く、広大な駐車スペースはない。車と歩行者の距離も近いため、危険を感じる。車社会の発展と消費者の需要を考えれば、「サンモール」は必要な施設であっただろう。

商店街は車道も歩道も狭い通りが多い(写真:筆者撮影)

旭市の新たな商業拠点を形成

大新産業は「サンモール」オープン後も周辺に、1987(昭和62)年「ビッグバンスポーツクラブ」、1990(平成2)年「健康ランドヘルシーリゾートスパ」、「ホテルサンモール」をオープン。ホテルの1階には、千葉三越のサテライトショップが入った。

右側が「サンモール」、左側が「ホテルサンモール」(写真:筆者撮影)
スパは現在ホテルの別館となっている(写真:筆者撮影)

これらの「サンモール」周辺の開発について大新産業は、スポーツクラブやスパ単独では採算を合わせるのが難しいものの、商圏を広げること、さらには街づくりの観点からオープンしたと説明している。

3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数