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売れずに1年で生産終了したブラックサンダーが、年間1億本を超える国民的ヒット商品へ成長できた理由

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有楽製菓 代表取締役社長 河合辰信氏
ブラックサンダーを作る有楽製菓・代表取締役社長、河合辰信氏(撮影:今井康一)

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累計19億本超を誇る国民的チョコ菓子「ブラックサンダー」。しかし1994年の発売当初は、高い・黒い・読めない・お菓子に見えないといった理由で売れ行きが低迷し、わずか1年足らずで生産終了に追い込まれた「お荷物商品」でした。
一度は市場から消えた商品が、なぜ奇跡の復活を果たし、爆発的ヒットへと上り詰めることができたのか? 九州の営業マンによる粘り強い情熱と、予期せぬ幸運の連続から始まった快進撃の舞台裏について、有楽製菓代表取締役社長である、河合辰信氏の著書『ブラックサンダーはなぜ、日本で一番売れているチョコレートなのか』より一部を抜粋・再構成してお届けします。

価格と見た目に潜む「売れない理由」

1994年、愛知県豊橋市にあった旧豊橋工場で「ブラックサンダー」は誕生しました。当時の有楽製菓は、OEMやPBといったBtoB事業が売上の7割を占めており、自社ブランド(NB)を育てて体質改善を図ろうとしていた時期でした。

「ずっしり食べごたえのある商品を作ろう」という発想のもと、砕いたココアクッキーとプレーンビスケットをチョコレートと混ぜ合わせてバー状に固めるという、手間のかかる製法を採用しました。せっかく焼いたクッキーをわざわざ砕いてもう一度固め直すわけですから、実に面倒な作り方です。

『ブラックサンダーはなぜ、日本で一番売れているチョコレートなのか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら)

この手間こそがブラックサンダー独自のザクザク食感と食べごたえを生み出しました。味と食感については、最初から本気だったのです。

しかし、これがさっぱり売れませんでした。売れなかった理由はいくつもあります。

第一に「価格」です。当時、「うまい棒」や「チロルチョコ」が10円で並ぶ駄菓子売り場で、30円はかなり攻めた価格設定でした。子どもたちには「高い」と感じられたはずです。しかし、原料や製法にこだわり妥協しなかったため、30円でも採算ギリギリでした。皮肉なことに、おいしさの追求そのものが売れにくさにつながっていたのです。

第二に「見た目」です。商品名は英語表記で「BLACK THUNDER」。子ども向けのお菓子なのに読めません。パッケージデザインは黒地に黄色の警告色が基調で、「おいしそう」「楽しそう」どころか一見してチョコレート菓子に見えない。

さらに作る側にも負担がありました。ココアクッキーを使うため工場のラインが黒く汚れやすく、毎日の掃除に手間がかかります。

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