価格と見た目に潜む「売れない理由」
1994年、愛知県豊橋市にあった旧豊橋工場で「ブラックサンダー」は誕生しました。当時の有楽製菓は、OEMやPBといったBtoB事業が売上の7割を占めており、自社ブランド(NB)を育てて体質改善を図ろうとしていた時期でした。
「ずっしり食べごたえのある商品を作ろう」という発想のもと、砕いたココアクッキーとプレーンビスケットをチョコレートと混ぜ合わせてバー状に固めるという、手間のかかる製法を採用しました。せっかく焼いたクッキーをわざわざ砕いてもう一度固め直すわけですから、実に面倒な作り方です。
この手間こそがブラックサンダー独自のザクザク食感と食べごたえを生み出しました。味と食感については、最初から本気だったのです。
しかし、これがさっぱり売れませんでした。売れなかった理由はいくつもあります。
第一に「価格」です。当時、「うまい棒」や「チロルチョコ」が10円で並ぶ駄菓子売り場で、30円はかなり攻めた価格設定でした。子どもたちには「高い」と感じられたはずです。しかし、原料や製法にこだわり妥協しなかったため、30円でも採算ギリギリでした。皮肉なことに、おいしさの追求そのものが売れにくさにつながっていたのです。
第二に「見た目」です。商品名は英語表記で「BLACK THUNDER」。子ども向けのお菓子なのに読めません。パッケージデザインは黒地に黄色の警告色が基調で、「おいしそう」「楽しそう」どころか一見してチョコレート菓子に見えない。
さらに作る側にも負担がありました。ココアクッキーを使うため工場のラインが黒く汚れやすく、毎日の掃除に手間がかかります。



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