「文具」に熱狂する人が増えている。文具と聞けばボールペンにクリップ、ノートやファイルなどのオフィス用品が思い浮かびそうだが、それとはちょっと毛色が違う。
「文具博」「紙博」「手帳博」といった文具をテーマに掲げた「博覧会」に集う人たちのお目当ては、デザインペーパーやメモ紙、便箋にメッセージカード、シールやマステ(マスキングテープ)そして付箋などの、いわゆる「紙モノ」だ。
加えて、手帳やカードに押すスタンプも大人気。なぜこんなに熱狂するのか、というほど女性客が集まってくる。こうした「文具博」は今やとてつもない集客力を持つイベントだ。
大箱の展示会場やデパート開催のイベントはいつも大混雑、テレビ取材が入るほど盛況だ。2017年から開催されている「文具女子博」では、20代、30代、40代の女性を中心に累計で約80万人が訪れているという(2026年3月現在)。
売っているのはシールやマステなどちまちましたものじゃないかというなかれ、あれもこれもと買っているうちにすぐに一万円札が飛んでいく。デパートの文具博イベントを覗いたことがあるが、集合レジに並んでいる時に見かけた親子は5万円も買っていた。なぜ彼らは、そんなに文具を爆買いするのか? 一体それを何に使うのだろうか?
ハマると抜け出せない「紙モノ」の沼
紙とは、そもそも「記録を残す媒体」だった。しかし、デジタル時代の今、記録の結果はデータに変わり、手で触れることはできない。撮影した画像や動画も、趣味や旅行の思い出も、SNS上に漂っているだけだ。この時代に、なぜアナログの代表のような紙モノが人気を集めるのだろう。
「白紙の状態」という言葉があるように、紙とはそれを土台にして、その上にどんどん積み重ねていくことができる。文字を書く、色を塗る、シールを張る、スタンプを押す、他の紙を切り抜いてコラージュする。好きな紙を使って、好きなペンやシール、スタンプで彩って、自分の「好き」が詰まった世界を積み上げていく。SNSやブログとは違った自己表現の舞台として、紙が再注目されているのではないか。


※ログイン後、コメント入力が可能です。