デコ派もクラフト派もジャーナリング派も、紙を切ったり、貼ったり、糊付けしたり、ハンコを押したりとやることが多く、そのぶん道具としての文具も必要になる。ハサミにカッター、糊にテープ、スタンプ用のインクなどだ。文具好きが増えるほど、そうしたアイテムもどんどん売れる。
面白いのが、「今どきこんなものが売れるのか」という、レトロなアイテムも復活していることだ。例えばシーリングスタンプ。19世紀を描いたドラマで、手紙に封をする際に溶かしたワックスを落とし、その上にスタンプを押すというシーンを見かけるだろう。このキットが、今はなんと100円ショップで手に入る。また、ガラスペンもファンが多いアイテムだ。ボールペンが当たり前の時代に、わざわざインクを用意して、ペンにつけて文字を書くことを楽しんでいる。
切手風シールも大人気
そもそも、手紙を書く機会が無くなったなんていわれるが、文具好きにはポストカードや切手風シールも大人気だ。これも失われかけた習慣の復活といっていいかもしれない。そういえば文具博では活版印刷機もよく見かける。一文字ずつ活字を拾って、それを好きな紙に印刷するオーダーができたりする。PCでプリントする文字とは違い、レトロな味わいのカードが作れるだろう。
私たちは効率や手軽さを重視して古い技術を捨て去ってきた。そうやって消えていったものが文具ブームで復活を遂げているのだから興味深い。どれも、わざわざ人が手を動かし、それを楽しむフィジカルな世界だ。デジタル時代の今、あえて紙というアナログな舞台が盛り上がっているのが、文具ブームの現在地といえる。
改めて俯瞰してみると、文具ブームは裾野の広い市場だ。消耗品である多種多様な素材、それを扱う道具、さらには再注目される家電もある。
例えば、私たちは日常的にスマホで写真を撮っている。外出先の風景、ランチメニュー、カフェでのコーヒータイムなど、メモするように撮影しているのが常だ。かつてはデジカメで撮った写真を人に見せるには家庭用プリンターで画像を印刷する必要があったが、それがネットで簡単に共有できるようになり、やがてプリンターは家から姿を消した。


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