ところが、デジタルネイティブのはずの若者世代でも、スマホの写真をわざわざ印刷するようになっているらしい。スマホプリンター等の名称で、2026年7月には「3COINS」(スリーコインズ)もフォトプリンターを発売した。
こうしたスマホプリンターは専用のシール用紙へも印刷できるので、切り取って手帳のページに張り付ければ、それだけでページのグレードがぐんと上がる。手帳デコ派にとって、スマホ写真も「紙モノ」としての素材に変わるのだ。結果として、スマホプリンター用の印刷用の専用紙、インクカートリッジなどの消耗品が順調に売れていくだろう。
デジタルなのにあえて紙に印刷し、アナログ化する。その行為が新しい市場を広げていく。この先も、消費の伸びしろがある市場になりそうだ。
文具ブームはどこまで広がるか
文具ブームと重なる現象に、手帳ブームがある。手帳といっても単なるスケジュール管理ではなく、ライフログつまり「記録」を目的にしたスタイルに関心が集まっている。
デンマーク発の雑貨ブランド「フライング タイガー コペンハーゲン」が出した100シリーズという手帳がユニークだ。「100の本」「100の映画」「100の旅行」「100のレシピ」「100の思い出」など、それぞれの記録を100までつけていくというもの。ページはフォーマット化されていて、それに沿って書いていく。「どんなところが印象的だった?」「ハートマークの数で評価するなら」等、質問に答えながら埋めていく仕掛けが楽しい。
記録型手帳はシニア世代にも相性がよさそうだ。野球観戦や推し活ログ、ペットのログ、健康維持のための食事ログなど、テーマは何でもいい。昔に撮影した写真を整理しながら、過去の思い出を改めて記録に残すのも終活のひとつになるだろう。
人間とは記録することが好きな生き物だ。行った店、見た映画、読んだ本、美味しかったもの、感動した風景。自分の体験を残したくなるのは、文字を持つ人間の根源的な欲求かもしれない。電源がなくても、デジタルデバイスを持たずとも、紙とペンさえあれば記録はできるのだ。紙や文具は人間とともに、滅びそうで滅ぶことなく、新たなブームを生み出し続けるのだろう。


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