そうしてさまざまな工夫を重ねて作ったとしても、児童養護施設の子どもたちは、驚くほど食事にうるさい。なぜなら、グループホームに来る以前は、もっと多くの子どもたちと集団生活しており、そこには管理栄養士や調理師が常駐していたからだ。プロが手がけた料理を当然のように食べてきた子どもたちは、そんじょそこらの大人よりよっぽど優れた味覚を持っていた。
言うまでもなく、筆者より舌の肥えた彼女たちは筆者の料理へのダメ出しも多かった。誤解してほしくないが、筆者は彼女たちのそんな態度に腹を立てていたわけではない。むしろ、家庭環境に恵まれなかった彼女たちが、本音を隠さずに伝えてくれることは、非常に嬉しいことでもあった。「濃すぎる」「薄すぎる」「焦げてる」など、なんだかんだと文句を言いつつも笑って食べてくれるのも、食事の大切なコミュニケーションになっていたように思う。
一般家庭より充実? 施設の子どもたちが食べる食事とは
さて、筆者が働いていた児童養護施設の、子どもへ提供する食事について見てみよう。
まず、前提として給食がない子どもには3食を提供する。中学以降、お弁当が必要な子には、子どもが出発する時間に合わせてできたてのお弁当を渡せるようにしておくのだ。部活で6時に出発する子がいるなら、職員が5時には起きてお弁当と子どもの朝食を作る。パンだけで済ませる子もいれば、「朝はしっかり食べたい」と一生懸命眠い目をこすりながらみそ汁を啜る子もいた。
出発がどんなに早くても、きちんと朝食を食べられる環境がある。少なくとも、幼い頃に食事すら満足に与えられなかった筆者にとっては、うらやましいほど恵まれた環境に感じられた。
では、具体的にどんなメニューが提供されていたのか。以下は、筆者が実際に作っていた料理の一例だ。

上記の表を見てもらえば分かる通り、一般家庭よりよほど充実した食事が当たり前だったのだ。特に、フルーツを当然のように食べている姿を見て、「その辺の家庭よりよっぽど恵まれてる……!」と驚愕しっぱなしだった。


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