昔は、失礼なことをした時は、お客さまが怒鳴ってくれたので、改めるきっかけになりました。でも今のお客さまは、口には出さずに「もういいや、関係を切ってしまおう」と考えて、体よく追い払われるだけです。
気づく機会もないまま、実はチャンスをなくしているということは、ものすごく多いと思います。何がダメだったのかがわからなければ、本人も直しようがないのですが、自主性が重要になったあまり、それを言わなくなったのが今の世の中ですね。
協力するスキルは、数字で測れない
一方で、仕事はますます難しくなり、他者の協力が必要なのにもかかわらず、協力する技術をろくに教わっていません。つながりは、意識的に学んでいかなければ身につかないスキルにもなっています。
私が知る限り、そのスキルを定量的に評価できている会社はありません。こういうことは、本来、分担するものでもあります。ある人はつながり作るのが得意、ある人は数字を作るのがうまい。それなら協力すればよいのですが、自主性という個別の評価になってくると難しい。
昔の日本企業は年功序列で、あまり個人の能力によって評価を変えませんでした。ここには、安定して長期的に働けるというメリットがあったと思います。
ただ、今は年功序列で解決できる問題が減ってしまいました。年功序列は、個人の能力をある程度無視してしまう制度ですから、今の難しい問題には対処できない可能性が高いのではないでしょうか。
やはり、自主性と専門性は必要です。ただそれだけを追求すると会社への忠誠度は低くなるし、それぞれがノウハウも開示しなくなり、評価も難しくなる。
こういったところで、組織をどう運営していけばよいかという難問に、ヒッペル氏のような研究者が挑んでいるのだと思います。本書はとても良い枠組みを示してくれる本でしたし、今後の研究結果も非常に興味深いですね。


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