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「刺されている!」イスラエル行き航空機の副操縦士が機長を襲い急降下、乗客が阻止した「9.11型テロ」未遂の一部始終

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サウジアラビアで緊急着陸したFZ1073便の乗客を乗せた代替機がイスラエルに到着した(写真:Nir Keidar/Anadolu via Getty Images)
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FZ1073便の予定飛行時間は3時間半ほどだった。機体はサウジアラビア上空の高度約3万4000フィート(約1万メートル)を順調に飛行していた。午前8時21分、あと1時間ほどでテルアビブに到着するという時、たまたま機首に近いトイレ付近にいた女性がコックピットの異変を察知した。

「刺されている!」

ロックが解除されたコックピットのドアの向こう側に、機長が倒れていた。機長はインド人のスミット・マッチャール氏。頭部や手、首元などを刺されて流血していたが、何とか自力でロックを解除し、周囲に異変を知らせようとしたのだ。機長を刺したのは、隣にいたオマーン人の副操縦士だった。

次の瞬間、機体が左右に大きく傾いた。その後、機首を下げる形でほぼ垂直に傾き、約30秒で高度1万9000フィート(約5800メートル)あたりまで降下した。機内はほぼ無重力状態となり、立っていた人々は後ろに吹き飛ばされ、荷物などが散乱し、意識を失う人も出た。叫び声が飛び交い、パニック状態となった。午前8時22分のことである。

乗客2人がコックピットへ

この緊急事態に、数名のイスラエル人乗客が立ち上がった。

「女性が『刺されている!』と叫んだのが聞こえたので、何かが起きていると感じました。その直後、機体が非常に激しく揺れました。その瞬間コックピットに向かって走り出しましたが、機体が急降下して全員が吹き飛ばされました」

午前8時23分に最初にコックピットへ到着したヤニヴ・ハユン氏が言う。操縦席を独り陣取った副操縦士は、操縦桿を押し下げたまま、他の計器を壊そうとしていた。

ヤニヴ氏は後から到着したショタ・ムサイヴ氏らと共に、まずは副操縦士の首を背後からチョークスリーパーで絞め上げ、コックピットの外に引きずり出した。そして床にねじ伏せた状態で、近くにあったヘッドホンのコードなどを使い、両手を硬く縛り上げた。

コックピット内部は血の海だった。機長が最後まで戦った証拠だった。そして今、何よりも大事なのは、落下し続ける機体を立て直すことである。一刻を争う事態だった。

ヤニヴ氏は配管工であり航空関係者ではない。けれども、かつて見たドキュメンタリー番組「メーデー!:航空機事故の真実と真相」の記憶が頭をよぎった。「操縦桿を引き戻せばいい」とっさにそう思った。

「高度計を見たら1万6000フィート(約4800メートル)でした。あと数十秒遅れていたら、そこで確実に墜落していたことでしょう」

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