森岡氏の強みとして知られるのが、高度な需要予測やデータ分析によって「勝てる確率」を高める、いわゆる数学マーケティングである。一般向けの著書だけでなく、『確率思考の戦略論』のような専門性の高い書籍も出版しており、感覚や経験に頼らず、数字から市場を捉える姿勢は森岡氏の名声を下支えしていた。
だからこそ、ジャングリア沖縄で需要予測が外れたことの意味は小さくない。
得意の「数学マーケティング」による需要予測はなぜ外れたのか
初年度の来場者数は約100万人だったが、この数字には併設するスパの利用者も含まれている。一方、開業前には沖縄美ら海水族館の年間来場者約300万人の半分にあたる約150万人で採算が見込めると説明されていた。
単純比較はできないものの、実績はその水準を大きく下回ったことになる。年間150万人という想定自体が過大だったという指摘もあり、その主要因として立地の悪さが指摘されている。しかし、近隣の沖縄美ら海水族館には年間約300万人規模の来場実績があり、150万人という数字を無謀とも言い切れない。
ジャングリアは確かに那覇空港や那覇市内からは遠いが、美ら海水族館から車で30分弱、名護市街地からも20分程度で、北部観光の周遊ルートに組み込むことは可能だ。
問題は、既存施設の改善と、まったく新しい施設の需要をゼロから読むことでは、予測の難易度が大きく異なる点にある。既存施設なら過去の来場者数、価格変更への反応、顧客の属性、季節変動や気候の要因など、豊富なデータを活用できる。しかしジャングリアは前例のない新施設であり、この施設そのものに、どれほど人を引きつける力があるのかを測る実績データが存在しなかった。
「森岡氏は1を10にする能力には長けているが、0から1を生み出すのは得意ではないのではないか」という見方が出るのも、この点だろう。


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