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朝ドラ《ブラッサム》のモデル・宇野千代の波瀾万丈な人生、一生現役で稼いだ作家が88歳を前に語った"いまが一番幸せ"

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『宇野千代 ちょっと自伝』より
「いまが一番幸せ」。朝ドラで注目される宇野千代さんが語った言葉を紹介します(写真:『宇野千代 ちょっと自伝』より)
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田舎に母親とお祖母さんとがいましたからね、この金を見せてやりたいと思って―岩国へふっ飛んで帰ったのよ。それで、金を見せて、一部を分けて上げた。そのときの二人の喜び様(よう)といったらなかったのよ。

あんまり喜ばれたのでね、そのためにわたしは女流作家になったんです。

北海道に待っていた亭主は、拓殖銀行に勤めてましたから、まぁまぁ暮せる収入はあったでしょう。とにかくその人に見せるより、先ず岩国のお袋さんとお祖母さんを喜ばせたかった。で、そのまま北海道に帰らなかったんですからねぇ……。

でも考えてみるとわたしは、田舎の女学校を出てから現在まで、一日も金を稼がない日はなかった、というような気がするの。それは、とても賑やかな、嬉しいことですよ。

男に養って貰ったことは、ないわねぇ。何でも買ってくれるような恋人もいなかった。

『スタイル』を出していた時分は、金が湯水のように入ってきたけれど、経営がズサンでしたから忽(たちま)ち倒産。あのとき、金というものの空恐ろしさを、骨身にしみてわかりましたね。

『生きて行く私』がベストセラーになって、億に近いような金を貰ったでしょう。わたしの出した本の中で、唯一、大金を稼いでくれた本ですね。税金で七割も持って行かれて。莫迦(ばか)らしい、と言う人もいましたが、わたしは大満足。自分の働いたお金でそんなに沢山の税金が払えたと思うと嬉しいわ。

現在も、一枚幾らという原稿料を貰ってそれで生活している、このことがほんとうに安心で幸福。一生、現役で働くのがわたしの理想です。

もうじき八十八歳、いまが一番幸せ

いまのわたしは、ほんとうに満ちたりて、何の心配ごともなく、これほど幸福だったことはないというくらいの生活です。有難いなぁ、と思うのよ。

もうじき八十八ですもの、寝たいときに寝て、食べたいときに食べて、気儘(きまま)そのもの。と言ってもね、時間的にはわりあい規則正しい。朝は必ず四時半か五時に起きます。目が覚めてしまうのよ。

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