こうした紆余曲折を経て、二人は夫婦となり、結婚式を挙げた。富士子さんの家族がジャックさんと会ったのは、結婚式の前日のことだった。母方の富山の祖母は反対したままで、結局富山の親族は誰も結婚式に出席しなかった。
夫婦は「並走する線路」
それから30年以上の時が過ぎた。
この間、危うい時期がなかったわけではない。子供たちが小さい頃、ジャックさんはお店を閉めてから帰宅するために帰りが遅く、ワンオペで子育てをする富士子さんは限界を感じ、本気で離婚を考えたこともあった。そのときは言いたいことを全部話し、ジャックさんが行動を改めたことで事なきを得た。
富士子さんは夫婦を「線路」に例える。
「夫婦は並走している線路のようなもので、どこかのスイッチポイントで交わることができればいい。そのためには、お互いが自分の気持ちを話すことが大事。そうでなければ、物事が前に進んでいきません」
かつて前例のなかった二本の線路は、30年以上並走してきた。
二人の話を聞いていたら、いつの間にか夕方が近づいていた。思い出を振り返ってきた二人には、和やかな空気が流れている。ニコニコ顔のジャックさんが「今日はずいぶん褒めてもらったから、焼肉でも食べに行くか!」と、富士子さんを誘った。


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