マンガ研究科の博士後期課程を修了すれば、博士の学位が取得できる。多数の漫画家やアニメーション作家を輩出してきた「名門」である。ZONさんのように、日本の漫画やアニメを学びに来た留学生も多い。
「そこで漫画のキャラクター論や文化論、美術史などを学びました。私の研究テーマは背景の描き方です」
大手には目もくれず向かった「トーチ」のブース
こうして学んだ技術を活かして漫画を描き続け、微博(ウェイボー、中国のSNS)に投稿していたところ、編集者から声がかかった。そして、中国のウェブ漫画サイトで『京天吃什么』の連載をスタート。タイトルを日本語にすれば『京、なに食べる?』で、「今日」と京都の「京」をかけたもの。京都での留学生活を、料理を通して綴っている。
やがて卒業を迎え、就職のために上京したZONさんだったが、やはり日本でも漫画家として活動したかった。
「作品を描きたいという気持ちは強かったです。だから、コミティアに持ち込みをしました」
コミティアは2次創作ではなく、オリジナル作品だけを出展できる巨大な同人誌即売会だ。各出版社が、「出張編集部」を出すことでも知られている。ZONさんは、名だたる大手漫画雑誌の編集部には目もくれず、リイド社が運営する「トーチweb」のブースに向かった。
「大学院の頃からずっと読み続けていて、大好きなサイトだったんです」
大学院の卒業制作で描いたファンタジーものの作品を持ち込んで、編集者に手渡した。連絡が来たのは1カ月ほど後のことだ。
「一緒に作品をつくりませんかってお誘いをいただいたんです」
編集者は『京天吃什么』も翻訳してすべて読んだ上で、「こういう作品を描いてみたらどうか」と提案してくれ、2025年から『ニーハオ、おいしい東京日和。』の連載が始まった。念願の、日本での漫画家デビューだった。
「あまり自信もなくて、ちゃんとできるかなという気持ちが大きかったですが、やっぱり連載が決まったことは嬉しかった」


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