この頃からすでに「漫画家になりたい」という淡い夢は持っていたものの、難しいだろうと思い、進学は地元の農業大学へ。しかし、環境デザインを学びながらも、漫画への思いは捨てきれなかった。
『おやすみプンプン』で浅野いにおの漫画にハマった
「大学生のときは日本の漫画を本当によく読みました。とくに好きだったのは『ヨコハマ買い出し紀行』。それと、浅野いにおさんの作品です。最初は『おやすみプンプン』から。背景は繊細でリアルなのに、主人公はデフォルメされているという描写は、私が漫画を描くときにも参考になりましたね。それに“鬱漫画”って呼ばれている展開にも引き込まれました」
日本のさまざまな作品に触れ、大学に通いながらも漫画を描き続けるうちに、漫画のことをもっと知りたい、日本で学びたいという気持ちが大きくなっていった。大学を卒業すると、京都の日本語学校に留学する。2018年のことだった。
「日本にはじめて来た日は、関西空港から日本語学校のバスで京都の寮に行ったのですが、着いたらもう夜。お腹が空いて、近くで見つけた『餃子の王将』で天津飯を食べました」
よく「中国にはない、日本生まれの中華料理」といわれる天津飯が、日本最初の食事だったのだ。「けっこう美味しかったです」とZONさんは笑う。
その日から、日本での暮らしが始まった。
日本語を鍛えたのちに、ZONさんが進学したのは京都精華大学の大学院だ。
「日本で最初にマンガ学部を開設した大学なんです」
漫画という文化や描き方などの専門的な教育を行っており、マンガ学部を置く、日本唯一の大学として知られる存在だ。


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