アニメを1話観るなら、20分ほどは同じ物語に付き合うことになります。
すべての場面が刺激的なわけではありません。話の前提を説明する場面もあれば、展開がゆっくり進む時間もある。
それでも、「この先どうなるのだろう」と思いながら観続けます。
漫画も同じです。コマを追い、セリフを読み、前のページとのつながりを考え、登場人物の感情を想像する。物語を理解するためには、自分の頭の中で情報をつなぎ合わせなければなりません。
そこには、「ひとつのものに一定時間、向き合い続ける」という経験があります。
一方、ショート動画では、少しでも退屈だと感じた瞬間にスワイプできます。意味がすぐにわからなくても、考える必要はありません。もっとわかりやすく、もっと刺激的な動画が、次の一本として用意されているからです。
もちろん、だからといって「漫画は集中力を育て、ショート動画は集中力を壊す」とまで単純化することはできません。
ただ、退屈や「すぐにはわからない時間」から簡単に離脱できる環境に慣れ続ければ、ひとつの対象に注意を向け続ける機会が減る。その可能性は、十分に考える必要があると思います。
集中力を育てるのは「少し退屈な時間」
勉強とは、すぐに面白さや正解が返ってこない行為です。
数学の問題が解けなくても、答えを見る前に考え続ける。英語の長文を、途中で意味がわからなくなっても読み進める。教科書の一文に立ち止まり、「これはどういう意味だろう」と頭を働かせる。
学力を伸ばすためには、この「すぐにはわからない時間」に踏みとどまらなければなりません。
ところが、数十秒ごとに新しい刺激へ移る生活に慣れていると、問題が少し難しくなった瞬間、頭の中で「次へ行きたい」という感覚が生まれます。
教科書はスワイプしても、もっと面白いページを出してくれません。数学の問題は、退屈したからといって、勝手に簡単な問題へ切り替わってくれません。
学校の先生たちが感じている「学力が伸びにくい」という印象の背景には、知識量だけでなく、この「向き合い続ける力」の変化があるのかもしれません。


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