後発商品ながらも支持されるようになった要因は、例のサイズにある。近年は核家族化により一世帯の人数が減り、単身世帯も増えた。そのため、従来主力とされていた1Lボトルの醤油は、使い切れずに持て余す家庭が増えていたのだ。そこへ登場した600mlサイズは容量がちょうどよく、大きさも卓上で「つけ・かけ」するのに違和感のないサイズだったのだろう。これを機に、1Lボトルから乗り換えたお客が多かったという。
さらに、のちに発売された小さめの300mlは、使い切りやすい点で単身者の需要を捉えた。その結果、2026年2月時点において、シリーズ累計で1000万本を突破している。
一方、2022年に「鮮度の一滴」は終売を迎え、静かに役目を終えた。「醤油の鮮度」という新たな価値観を根づかせる役割を果たし、より完成度の高いボトルタイプへと、あとを譲ったのだ。
鮮度の保持が、環境負荷の低減につながる
パウチタイプの「鮮度の一滴」から、ボトル容器の「鮮度生活」へと販売数が逆転していく最中、包装容器の開発を担当していた河戸さんは一人ジレンマを抱えるようになっていた。
「『鮮度の一滴』の最終パッケージは、紙製の外装にプラスチックの内袋という、きわめてエコな商品だったんです。でも、『鮮度生活』のボトルは、ペットボトルよりもプラスチック量が多くて……。『売れるからといって、この時代にプラスチックを多く使った製品を販売していいのだろうか』という葛藤がありました」
お客さんのために使い勝手を高めたいが、環境負荷が増えてしまう——この矛盾を解消するため、同部署では2020年にボトルをリサイクル可能なPET容器へと切り替え、プラスチックの使用量を削減。その後はもう一歩踏み込み、PET容器の一部にリサイクルPET材を使用したり、分別しやすいようラベルやキャップの仕様を変更したりと、より環境にやさしい容器へと生まれ変わらせてきた。


※ログイン後、コメント入力が可能です。