採用されたパウチ容器は、「鮮度を保つ」という意味では非常に優れた機能を備えていた。だが、家庭で毎日使われるうちに、別の顔が見えてきた。
「平たく柔らかいせいで、片手ではつかみにくい」
「うっかり倒すと、醤油が漏れ出てしまう」
「立たせて収納するときに、安定しづらい」
また、注ぎ口の弁にキャップがなかったことから、衛生面を気にする声も寄せられた。長期間にわたって醤油のおいしさを守り続ける容器が、実は暮らしのなかでは小さなストレスを生んでいたのだ。
「どれだけ技術的に優れていても、食品容器は購買時と調理時、食卓での使用時と、すべての評価が重要とされています。そのため、倒れやすい、持ちにくい、注ぎにくいというマイナスイメージがなかなか拭えなかったようです」(同社 宣伝広報室 西谷綾さん)
ボトルタイプの新ブランド「鮮度生活」誕生
「鮮度の一滴」の発売翌年にあたる2010年、業界は次なる転換点を迎えた。キッコーマンから、パウチ型の追随商品が発売され、2011年にはボトル型の鮮度保持容器を用いた商品が発売されたのだ。それは空気に触れない二重構造の密封ボトルを採用したもので、パウチ容器よりも使い勝手が良かった。そのため、当時は営業面で厳しい戦いを強いられていたらしい。
「お客様が『鮮度保持期間』と『使い勝手』のどちらを重視されるのか。それによって小売店様が取り扱う商品が変わるので、正直、難しい場面もありましたね」(同社マーケティング部 営業戦略室 室長 矢野拓也さん)
しかし同じ頃、ヤマサ醤油もボトルタイプの開発をすでに進めていた。だが、やっとのことで発売準備を進める段階になると、どのブランドで売るべきか、社内では真っ二つに意見が分かれたらしい。


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