TBSで現在放送中の大ヒットドラマ「VIVANT」を手がける福澤克雄監督が、撮影中に「度が過ぎたパワハラ行為」をしていたことが週刊誌で報じられた。撮影現場で脚立に足をかけて作業していた助監督に福澤氏が詰め寄り、その体を押した結果、助監督が骨折した。報道内容が事実であれば、これは暴言や威圧的な指導といった一般的なパワハラのイメージを大きく超える出来事である。
福澤氏のパワハラ問題自体は、今回初めて明らかになったことではない。TBSは以前にも「パワーハラスメントに該当する言動が認められ、厳正に人事上の措置を行った」と説明していた。福澤氏が一時的に撮影現場を離れていたことも認めているが、具体的に何があったのかについては公表せず、その後は福澤氏は現場に復帰して、「VIVANT」の制作を続けていた。
ここで問題なのは、TBSが「パワハラ」という抽象的な言葉だけを公表し、その中身を明らかにしなかったことだ。暴言や威圧的な態度と、人の体を押して転倒させ、結果として骨折させる行為とでは、印象が全く違う。「他人を骨折させるほどの暴力行為」を単に「パワハラ」と呼んで済ませるのは、マスコミとして適切な言葉遣いをしているとは言いがたい。
報道が事実ならパワハラでは済ませられない
もちろん、現時点の報道だけをもって事実関係について断定的に語ることはできない。しかし少なくとも、報道されている内容が事実なら、これは単なる「厳しい指導」や「不適切な発言」ではなく、身体への実力行使によってスタッフが負傷した事案である。その具体的事実を明らかにしないまま「パワハラがあったので処分した」とだけ説明することは、対応として不十分である。
ここで忘れてはならないのが、TBSが報道機関でもあるという事実である。テレビ局は単なる番組制作会社ではない。社会で起きた出来事を取材し、権力や企業の不祥事を検証し、都合の悪い事実であっても広く伝えることを自らの公共的使命として掲げている存在である。


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