それでは、その数字が実際にどのようなリスクとして現れるのかを見ていきましょう。
なお、ここでは将来の影響を説明する際に「2℃上昇シナリオ」「4℃上昇シナリオ」というものを使う場合があります。これは、世界平均気温が工業化以前よりそれぞれ2℃、4℃上昇したと想定した場合に、日本の気候や社会への影響がどう変わるかを見積もるための前提です。
2℃上昇シナリオは、パリ協定(フランス・パリで開催された21回気候変動枠組条約締約国会議で採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)の2℃目標が達成された場合に近い気候状態、4℃上昇シナリオは、温暖化がより大きく進んだ場合の気候状態として見ることができます。
気候リスクは何で決まるか?
温暖化の影響の出方を考えるときに使われるのが、「気候リスク」(気候変化リスク、温暖化リスクとも)という考え方です。気候リスクとは、気候の変化によって人間社会や生態系に被害が生じるおそれのことです。
気候リスクは、猛暑や豪雨のような気象現象そのものだけで決まるわけではありません。同じ猛暑でも、高齢者が多い地域、冷房を使いにくい住宅が多い地域、屋外で働く人が多い社会では、健康被害が大きくなります。
日本では猛暑になっても、外出をせず、家の中でエアコンを使うことができれば、何とかしのげるでしょう。しかし、世界には家に冷房設備がない環境で暮らす人々が大勢いるので、そうした地域での猛暑は生命の危険に直結する災害です。
また、同じ大雨でも、低い土地に住宅や工場が集中していたり、排水設備や避難体制が十分でなかったりすれば、被害は大きくなります。
つまり、気候リスクは、「何が起こるか」と「それを受ける社会がどのような状態にあるか」の組み合わせで決まります。危険な現象がどのくらい強まるのか。人や建物、農地、インフラがどれだけその影響を受ける場所にあるのか。社会にどれだけ備えがあり、どれだけ被害を受けやすいのか。これらを合わせて見なければ、温暖化の本当の影響はわかりません。


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