約20人の同グループを率いる武田良太元総務相は、高市首相と非常に関係がいい。今年2月の衆院選では、武田氏と関係がよくない麻生太郎副総裁が反対したにもかかわらず、高市首相は投票日の前々日に武田氏の応援に駆けつけ、マイクを握っている。
なお、今回の改造で閣外に退いた林芳正前総務相も、6月に林氏の後援者である柳居俊学元山口県連会長を交えて都内のイタリアンレストランで武田氏と食事をしている。来年の総裁選をにらんだ「武田票」をめぐる争奪戦は、すでに始まっているわけだ。
その林氏を支援する勢力も存在する。「反高市」の急先鋒として知られる森山裕元幹事長は9月11日のCS番組で、「十分に(首相を)務める能力を持っていることは間違いない」と林氏に太鼓判を押した。林氏は今月5日、森山氏が会長を務める自民党鹿児島県連の「政経セミナー」で、約1000人の聴衆を前に講演した。
その森山氏とつながるのが、9月15日に参院幹事長を更迭された石井準一氏だ。森山氏は地方議員時代に故・二階堂進氏の薫陶を受け、参院議員時代に故・青木幹雄氏が率いる参院平成研に所属。自民党参院幹事長を務めた故・吉田博美氏とも深い交友があった。その吉田氏を石井氏は「政治の師」と仰いでいた。
付きまとう“裏金”のリスク
リスクは林氏の閣外追放だけではない。今回の内閣改造で文部科学相に関芳弘氏、農林水産相に簗和生氏を登用した件で、裏金問題が再燃する危険がある。
関氏は836万円の裏金で戒告処分を受け、簗氏の処分に至っては1746万円の裏金で党の役職停止半年と、処分が重かった。しかも簗氏の場合は、24年の衆院選で4万5546票を得て衆院栃木3区で当選したが、21年の衆院選より3万6852票も少なかった。26年の衆院選では投票日の前々日に高市首相が応援に入ったが、新人候補に及ばず落選。比例区の復活当選に甘んじた。
高市首相は17日の会見で、「2回の選挙を通じて有権者の皆様に国政に送り出していただいた」ことを根拠に、裏金議員の登用を正当化しようとした。だが、比例区の議席は政党が得た議席であって、候補者個人が獲得したものではない。比例復活をもって禊(みそぎ)とするのは論理上、無理がある。
また、日本維新の会から入閣し、規制改革担当相に就任した中司宏氏は、枚方市長時代に市の清掃工場建設工事をめぐって談合疑惑で逮捕され、13年に懲役1年6月・執行猶予3年が確定した。ある自民党関係者は「第2次橋本改造内閣で総務庁長官に就任した佐藤孝行氏を思い出す」と語る。
佐藤氏もロッキード事件で逮捕され、無罪を主張したが、1986年に懲役2年・執行猶予3年が確定。執行猶予期間満了後に自民党に復党し、97年には念願の初入閣を果たした。しかし世論がこれに反発し、党内からも批判が出て、佐藤氏はわずか12日間で総務庁長官を辞任した。これが98年7月に橋本政権が終焉した遠因になったとされる。
「賢者は歴史に学ぶ」と述べたのは、ドイツ帝国の初代宰相を務めたオットー・フォン・ビスマルクだ。はたして、70年余りに及ぶ自民党政権の歴史に、高市首相はいったい何を学んだのだろうか。


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