この一連の問題は台湾メディアで大きく報じられ、与野党間でも激しい論争となった。
批判側の民進党などからは、市長の権限が及ぶ教育局の事業に実子が選抜されたことについて利益相反の回避が十分だったのかという疑問が示された。
また、アメリカ国籍を持つ裕福な家庭の子どもが公的な交換留学制度の対象となったことについて、一般家庭の生徒との公平性を問題視する声も上がった。
一方、擁護側の国民党などは、選考は公開された規定と手続きに沿って客観的に行われており、特別扱いはなかったと主張。また政治家の子どもであることを理由に、制度への応募や選考を受ける機会そのものを否定するのは過度な政治的批判だとして、他の政治家やその家族による奨学金・公的支援の利用例を引き合いに出して反論した。
これまでの「清廉さ」にダメージ
蔣氏自身も、長男について「公開された規定に従って申請し、正式な選考を経て合格した」と説明し、自身は選考に一切介入していないと強調した。
その一方、政治的な議論や周囲への影響を避けるため、妻と長男と相談したうえで、教育局からの補助は受け取らないと発表した。
補助金を辞退することで事態の沈静化を図った形だが、長男が正取25人の1人に選ばれたこと自体や、アメリカ国籍をめぐる問題、さらに過去の市長賞をめぐる疑問は、野党側にとって引き続き追及材料となっている。
こうした一連の議論によって、一般市民や若者の間にも「権力者の家族が公的な資源にアクセスすること」への不公平感を抱かせる可能性はある。
とりわけ、蔣氏がこれまで築いてきた清廉で穏健なイメージとの間にギャップを感じる有権者が出れば、26年11月の台北市長選に向けて、直接的な失点というよりも、じわじわと効いてくるボディーブローのようなダメージになる可能性があるかもしれない。

