次に、蔣氏の長男が台北市教育局の国際交換学生学習計画に選抜されたことをめぐり26年8月末から9月にかけて大きな波紋を呼んだ。
発端となったのは、26年8月31日、蔣氏の長男が台湾の難関校である建国中学(高校)に合格したものの、入学後に休学し、台北市教育局が実施する「115学年度(26~27学年度)国際交換学生学習計画」に選抜され、1年間のアメリカ留学に赴くことが報じられたことだった。
息子の公費留学スキャンダル
この計画は、台北市教育局が実施する公的な交換留学制度で、正取25人、備取10人という枠が設けられている。選抜された生徒には、家庭の所得区分などに応じて教育局から一定額の補助が支給される仕組みだ。一般家庭の場合、所得区分によって7万5000台湾ドル(約36.7万円)または20万台湾ドル(約97.9万円)が補助され、低所得・中低所得世帯には70万台湾ドル(約343万円)が支給される。
蔣氏の長男がこの25人の正取者の1人となったことを受け、政界や弁護士の黄帝穎氏らからは「市長である蔣氏の子どもが、台北市教育局が実施する公的な事業の選抜対象となることについて、利益相反の回避が適切に行われたのか、また特別扱いがなかったのか」と、これを問題視する声が上がった。
さらに、蔣氏の長男がアメリカ国籍を持っていることも明らかになった。これを受け、二重国籍者が公費による交換留学制度の対象となることを問題視する声が広がった。
しかし台北市教育局は、この制度にはもともと国籍制限がなく、26年度にも複数の二重国籍者が参加しているほか、過去にも同様の例があると説明している。また、この制度には経済的に困窮する世帯の生徒を対象とした区分も設けられている。
さらに追及は、長男が中学卒業時に受賞した「市長賞」にも及んだ。
蔣氏が台北市童軍会(ボーイスカウト)の名誉会長を務めていることから、長男が童軍活動で優れた成績を収めて市長賞を受賞したことについて、利益相反や特別扱いを疑問視する声が上がったのである。
ただし、市長賞の評価基準をめぐっては、台湾師範大付属中学(高校)中学部側が、童軍を特殊市長賞の評価項目に加えたのは22年2月16日で、蔣氏が台北市長に就任する前だったと説明している。このため、「長男のために直前に基準を変更した」と断定することはできない。

