「メイプル」のオープン当日は約2000人の来店客が並び、盛況だったという。
オープン後も好調に推移した。1987(昭和62)年度の売り上げ前年比は124.3%。同年、「メイプル」の煽りを受け、近くの「マルサン百貨店」が閉店している。裏を返せば「メイプル」はそれだけ顧客を吸引していたということだ。
競合の登場でジャスコが撤退
ところが、「メイプル」にも強力なライバルが現れる。1996(平成8)年11月、隣接する旧前沢町の国道4号沿いに「ジャスコ前沢ショッピングセンター」(現・イオン前沢ショッピングセンター)がオープンした。ジャスコと28の専門店で構成するジャスコ前沢店のほか、ホームセンターやガソリンスタンド、飲食店が出店。駐車場は1900台で、「メイプル」の400台よりはるかに多い。
水沢市と前沢町をつなぐ国道4号沿いには郊外型店舗が進出し、新たな商業地を形成していた。「メイプル」は駅前通りと旧国道4号がクロスする地点にあり、国道4号からは離れている。
「ジャスコ前沢ショッピングセンター」のオープン後には、「大規模SCが出店して約1年半経過した現在、前沢の商圏は飛躍的に拡大し、県南地方はもとより宮城県北にまで及んでいる」と伝えられている。(『岩手経済研究』1998年5月)
岩手県の『商業統計調査』によると、1991(平成3)年から1994(平成6)年にかけての小売業年間販売額増減率は、水沢市が4.6%、前沢町が5.4%と大差はなかった。だが、「ジャスコ前沢ショッピングセンター」のオープン前後の1994年と1997(平成9)年の比較では、水沢市の1.1%に対して前沢町はなんと60.6%である。
この影響を受け水沢駅前の「ダイエー水沢店」は業績が悪化し、1998(平成10)年7月末に閉鎖した。


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