すなわち、「集団の内部」では互いに過剰なほど気を使ったり、同調性への強い圧力が働いたりする一方、集団の「ソト」の者に対しては無関心か、ある種の敵対性が働くような関係性である。
このことを明示的に論じたのが、高度成長期にベストセラーとなった、文化人類学者の中根千枝氏の著書『タテ社会の人間関係』(1967年)だった。すでに拙著の中で何度か引用したことがあるが、中根氏は同書の中で次のように述べている。
正規と非正規を隔てる「身内主義」
多少戯画化した表現になっており、またこうした行動パターンは私が見てきた限り「昭和」の頃に比べると多少“改善”されているように思うが、残念ながら日本社会に今なお見られがちな行動パターンを示していると言わざるをえない。
また、「ウチとソト」「身内と他人(よそ者)」の区別の強さは、日本における正規・非正規の労働市場の二重構造という点とまさに重なっているだろう。
つまり、概して日本の企業ないし会社組織においては「正規社員」と「非正規社員」の扱いは絶対的とも言えるほど違う。正規社員は「身内」なので解雇も難しく、いわゆる「働かないおじさん」問題を含めて“ズルズル”と組織に残るという傾向が広がることになる。
他方、非正規はあくまで「ソト」「よそ者」的な扱いとなりがちであり、待遇も劣悪であることが珍しくない。
これがバブル崩壊後の、現在に続く日本経済の停滞の大きな背景の一つだった。それを「デフレ脱却」「成長戦略」といった(表層レベルあるいは昭和的・高度成長期的な発想の延長線上の)対応で解決しようとしても「らちが明かない」のだ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。