内閣府が幸福度に関して行った研究では、自己有用感が低い人ほど現在の幸福感が低いという結果が出ています。
また、ハーバード大学が75年以上、700人以上を追跡した有名な研究では、幸福度が高い人ほど人間関係が良好であることが示されました。人間関係が良好であれば、自己有用感を実感する機会が増え、それが自己肯定感を押し上げ、幸福度を高める──こういう循環になっています。
誰かから「ありがとう」と言われることは、自己有用感を生み出す魔法の言葉です。
そして、ここが重要なのですが、「ありがとう」は言うほうにも効きます。
原田さんには、もうひとつお願いをしました。コンビニでも、タクシーでも、部下に書類を渡されたときでも、「ありがとう」を口に出してください、と。
「どうも」でも「すみません」でもなく、「ありがとう」です。
日本のビジネスパーソンは、感謝を「すみません」で代替しがちです。しかし「すみません」は謝罪の言葉であり、こころに残るのは負い目です。「ありがとう」はこころに残るのが貢献の実感になります。
会社の外に、もうひとつ椅子を持つ
40代・50代の虚しさに、私はよくこう言います。
「会社の中だけで自己有用感を取り戻そうとしないでください」
会社の中では、あなたはもう「できて当たり前の人」です。そこで感謝を求めても、なかなか返ってきません。
過去の経歴も、肩書も、年収もまったく関係ない場所。そこで、小さくても誰かの役に立つ。それが、40代・50代にとってもっとも効率のいい回復ルートです。
地域の活動でも、趣味のコミュニティでも、後輩のメンタリングでも構いません。大切なのは、そこで「肩書のない自分」がありのままでいられることです。
原田さんは今も、月1回、少年ラグビーのグラウンドに立っています。手帳の予定は、以前より少し減ったそうです。
でも、こう言っていました。
「予定は減ったのに、なんか、埋まってるんですよね」
自己肯定感は、何歳からでも育て直せます。木は、実がなって初めて、次の世代に種を届けることができるのです。
(事例は複数のカウンセリング事例をもとに再構成したものです。個人が特定されないよう、年齢・性別・状況等を変更しています)



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