一部の投資は実際にGDPを押し下げることになる。二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)や混焼を用いて石炭とガスの使用を延長することは、日本に高コストの電気を背負わせることになる。
日本政府は、2ナノメートル以下のチップでサムスンやTSMCに対抗することを目指す官民出資会社ラピダスへのさらなる資金投入を望んでいる。多くの専門家はラピダスが利益を上げるか疑問視している。これはドブに金を捨てるようなものだ。日本にとっては、TSMCを誘致して九州に自社工場を建設させたことのほうがよほど利益となった。
企業のキャッシュため込みの解消を
企業に眠る多くの不要なキャッシュによってもたらされる成長の阻害を是正することが目標であるならば、より効果的な道筋は、過剰なキャッシュを再配分することによって削減することだ。これはきわめて現実的である。
企業キャッシュフローがこれほど多い主な理由は、抑制された賃金によって、名目事業GDPに占める労働分配率が95〜03年の70%から現在の59%へと低下したためだ。活性化には、大幅で持続的な実質賃金の引き上げが必要である。消費者の購買力向上は、成長を直接後押しするだけでなく、企業が投資を増やす理由を与える。近年、名目賃金は上昇したものの、ここ数カ月前まで実質賃金は下落し続けていた。
あいにく高市の計画には、より多くの投資が賃金を上げるという破綻したトリクルダウンの約束以外、賃金面での施策が含まれていない。
過去15年間で最も効果的だった施策は、年約3%の着実な最低賃金の引き上げであった。20年ほどの間に、これにより約2000万人の労働者が貧困ライン付近またはそれ以下の水準から引き上げられた。時給換算の最低賃金はこの秋に1176円に達すると予想されており、石破茂首相は30年までに1500円を目指した。対照的に高市は、それを35年まで先送りすることを提案している。日本の雇用者の約2800万人(労働力のほぼ半分)が1500円未満しか稼げていない。
同時に、日本政府は男女間および正社員と非正社員の間の同一労働同一賃金を義務付ける日本の法律を厳格に適用する必要がある。非正社員の時給は正社員より40%低い。一方、男性と同じ職種に就く女性も賃金差別を受けている。
過去20年ほどの間に、日本政府は法人税を減税する一方で消費税を引き上げ、家計から企業へと所得を繰り返し移転させてきた。経団連と経済産業省は、企業が余剰となった内部留保を使って賃金や投資により多く支出するため、誰もが恩恵を受けると主張した。しかし、企業が取引の約束を果たすことはなかった。


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