高市は自らの計画が新規投資を刺激するという幻想を抱いているかもしれない。しかし、それは投資に対する非現実的なほど巨大なリターンを得られるという”約束”にかかっており、企業の「経理屋」たちがそれを真に受ける可能性は低い。
もっとも、ペロブスカイト太陽電池、蓄電池、鉄鋼など脱炭素化が困難な部門向けのグリーン水素に関する研究を含め、17分野の中に価値あるプログラムが一部存在することは確かだ。鉄鋼だけでも日本のCO2排出量の14%を占めている。しかし、そうした事例の傍らには、港湾物流やアニメーションといった分野への無駄な事業(税金の無駄遣い)が並んでいる。対象が価値あるものであっても、主張される経済的見返りは著しく誇張されている(下図参照)。
自動運転で日本勢はWaymoに立ち向かえる?
たとえば自動運転への8兆円の投資が、今後15年間でその23倍にあたる187兆円のGDPをもたらすと主張されている。ソフトウェアにおける日本の低調さを考慮すると、日本の自動車メーカーはGoogleのWaymoのような実績のある企業に本当に立ち向かえるのだろうか。
Waymoは1秒あたり20ギガバイトを処理し、そのような「ビッグデータ」を走行指示に変換している。対照的に、IMD(国際経営開発研究所)の25年世界デジタル競争力ランキングによると、ビッグデータを活用する能力の尺度において、日本企業は58カ国中56位である。
AIは新しすぎるため、その効用やどの企業が成功するかを予測することはできない。ソフトウェアで出遅れている国が、AIへの34兆円の投資を366兆円の追加GDPに変えられると、日本政府はどうして言えるのだろうか。
製薬への44兆円の投資はGDPを385兆円押し上げることになっているが、世界市場における日本製薬企業のシェアは1990年代の18%から現在の4%へと急落している。70年代には半数を占めていた日本製チップの世界市場シェアが現在は10%未満にまで崩壊している中で、AI半導体への68兆円の投資が443兆円に成長するなどということがあり得るだろうか。


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