日本語でも「型にはまった行動」「礼儀の型」と言います。「フォーマルな服装」といえば、社会的に期待される一定の形式に沿った服装です。
そこから考えれば、「bad form」が「期待される型から外れた振る舞い」、つまり「礼儀に反する行動」を表すことは、なんとなく想像できます。この「なんとなく」が、実はとても重要なのです。
もう一つ、「order」という単語で考えてみましょう。
単語帳には、「注文」「命令」「秩序」などの意味が載っています。ところが、イギリス議会の中継を見ていると、議場が騒がしくなったとき、議長が大きな声でこう叫ぶことがあります。
「Order! Order!」
もちろん、「注文! 注文!」と言っているわけではありません。日本語にするなら、「静粛に!」「お静かに!」となります。では、「order=静粛」と新たに暗記すればよいのかというと、そうではありませんよね。
orderには「物事が整った状態」「秩序」という感覚があります。だから、議長の「Order!」は、直訳すれば「秩序を!」であり、実際の場面では「議場の秩序を取り戻してください」から「静粛に!」という意味になるわけです。
英単語の意味は、日本語訳だけで決まるものではありません。同じ単語でも、使われる場面や周囲の言葉によって、日本語にしたときの表現は変わります。
ところが、「order=注文」と固定して覚えていると、それ以外の使われ方に出会った瞬間、まったく別の単語のように感じてしまいます。
会話には「正解の訳」を探している時間がない
この1対1の覚え方は、特に英会話で大きな壁になります。
会話では、相手が話した英語を聞きながら、ほぼ同時に意味をつかみ、自分の言葉を返さなければなりません。そのたびに頭の中で、
「この英単語の正しい日本語訳は何だろう」
「自分の言いたい日本語にぴったり対応する英単語は何だろう」
「この訳し方で本当に合っているだろうか」
と考えていたら、会話のスピードについていけません。


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