児童館、おおたっ子ひろば、田園調布本町児童館東嶺町分室など、行政の施設も多く整っています。大田区は地域ボランティアが子育て世帯に寄り添う「ホームスタート・おおた」などの支援体制も充実。地域で「孤育て(孤独な子育て)」を防ぐ仕組みです。
住民アンケートでも子育て系のコミュニティやボランティアへの参加率が高く、子育てにおいても街全体で支える「ご近助」の精神が根付いていることがうかがえます。
日常の延長にある文化と学び。「地域の歴史を大切にする」空気も魅力
前述した藤乃屋書店に加え、大田図書館、池上図書館、久が原図書館、嶺町文化センターなど、日常の延長で本・地域史・学びに触れられる公共施設も点在。御嶽神社に限らず、周辺には寺社が多く、街の歴史を感じさせます。大きな文化施設ではなく、生活圏の中に小さな知的拠点がある――それがこの街らしさです。
中でも注目したいスポットが「昭和のくらし博物館」です。1951年(昭和26年)に建てられた民家をそのまま活用した博物館で、当時の台所や茶の間が生活感そのままに展示されています。身近でふらりと立ち寄れる、昔からの時を重ねたコト・モノを大切にする、この地域らしい文化を体現するスポットと言えるのではないでしょうか。
「住み続けたい街」として選ばれ続ける御嶽山・久が原エリア。その根底にあるのは、神社・商店街・銭湯・公園や自然――さまざまな場所で人と人が交わり、支え合う「ご近助」の文化です。
便利さだけでなく、人とのゆるやかなつながりが日常にある。そんな御嶽山・久が原エリアは、日々の安心・安全な暮らしに必要で、けれども近年多くの人が忘れていた懐かしいつながりと温かみを示してくれているようです。
SUUMO副編集長の江原亜弥美(えはら・あやみ)氏は「住んでいる人が自分のことのように街を大切にしている。そういう人が多い街というのは、自然と地域の目ができて、治安も防災も良くなっていくのだと感じる」と評します。この言葉からも、数字だけでは見えない、この街の豊かさを感じてもらえるのではないでしょうか。
取材・文/唐松奈津子(りんかく)

