生物学のうち遺伝子を操作する学問を分子生物学という。しかしキングは人類遺伝学者であって、分子生物学者ではなかった。
キングはまったく未知の世界である分子生物学の中に足を踏み入れる。そして乳がんの原因がいったいどこにあるのかを調べようと決意する。
人間の染色体は46本。23本ずつ両親から受け継ぐからだ。そして、大きい染色体の順に、1番染色体、2番染色体……と番号がついている。彼女は、まず場所を特定することから研究を始めた。
DNA鑑定という言葉をみなさんも知っているだろう。ヒトにはDNAの型の個性がある。全部のDNAが同じなら、ぼくも読者のあなたも同じ人間になってしまう。
個性を見分けるDNAのちっちゃな断片をDNA多型マーカーという。現在では、このマーカーを使って、個人を565京分の1まで特定可能だ。世界人口が82億人なのにね(笑)。
乳がんと一緒に受け継がれる「マーカー」を発見!
キングは、乳がんが多発する家系図を作った。家系の中には乳がんの人もいれば、そうではない人もいる。
そしておよそ170種類の多型マーカーを使って、「どのマーカー」が乳がんを発症した人たちだけに共通して、親から子に受け継がれているかを調べた。何年もかかって調べた。
すると17番染色体に存在する「あるマーカー」は常に乳がんと一緒に親子の間を動いていた。乳がんを起こす遺伝子は、このDNAマーカーのすぐ近くにある!


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