研究を進める中で、彼女は乳がんが多発している家系に出会う。もしかして、遺伝性の乳がんという病気があるのではないか?
少しでも情報が入ってくれば彼女は現地に飛んで詳しい聞き取りを行い、家系図を作って血液検査もさせてもらった。いわゆるフィールドワークだ。
こうした家系性の乳がんは若い年齢で発症していることが特徴だった。キングは確信した。遺伝する乳がんがあると。
遺伝性乳がんの存在を誰も信じてくれず…
ところがキングが遺伝性乳がんの存在を学会で発表しても、誰も信用してくれなかった。
「がんという病気は遺伝で起きるものではない」
「周囲の環境因子で発がんするもの」
「1つの家系で乳がんが多いのは同じ環境の中で生活しているからだ」
キングは冷笑を浴びた。
それでもキングは信念を貫いた。88年までに1579の家族を調べていた。
その病気が遺伝性かそうでないか。それを確定する方法は1つだけ。その原因遺伝子を取り出すことである。
ヒトの遺伝子の数はおよそ2万2000個といわれている。そこから1個の遺伝子を取り出さなければならない。これは砂浜から一粒のダイヤモンドを拾い上げるようなものだ。


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