26年8月の毎日新聞の報道によれば、BRCA1遺伝子の異常を受け継いでいる母親が、自分の子どもに遺伝子が引き継がれるかどうか、着床前診断してほしいと日本産科婦人科学会に申請をする予定だという。
着床前診断というのは、体外受精でできた胚から一部の細胞を採取して、遺伝子検査をすること。遺伝子異常がない胚を子宮に着床させるという方法だ。こうすれば人工妊娠中絶を避けられるが、「生命を選別」しているので、このことに対する批判もある。
いずれにしても、BRCA1遺伝子は女性にとって重要な遺伝子だ。
乳がんに挑んだ人類遺伝学者、メアリー=クレア・キング
メアリー=クレア・キングは、1946年生まれの研究者。この原稿を書いている時点で80歳だ。
彼女は人類遺伝学者だ。ヒトとチンパンジーの遺伝情報が99%一致していることを73年に発表して一躍有名になった。74年に研究室を替え、そこで上司から「乳がんにおける遺伝の役割を調べてみたら」と提案される。
彼女は研究者というだけではなく、フェミニストであり、アクティビスト(社会運動家)でもあった。ベトナム反戦運動にもコミットしている。
キングは、学会の重鎮が男性ばかりで、乳がんなどの女性特有のがんの研究に予算があまり割かれていないことに不満があった。さっそく、キングは乳がん研究にとりかかった。


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