だから移動そのものを楽しもう。これまでの「点」の旅を、「線」の旅へと変えてみよう。
もちろん、すべてを歩かなくてもいい。電車やクルマで移動するいつもの旅に、「歩く旅」を組み込んでいくのである。山道の落ち葉を踏みしめて歩き、森や湖や川をめぐる喜びを旅に加えていくのだ。それは従来の旅とはまったく異なる、鮮烈で新しい喜びをあなたに与えてくれるだろう。
フラット登山で提案する「官能的な山道」とは
従来の登山は、山の魅力は標高や歩行距離、危険度などのスペック重視だった。しかしスペックで山歩きの気持ち良さが決まるわけがない。
フラット登山では、「官能」の大きさで道の魅力を評価する。日本語の官能にはエロティックなイメージもあるが、本来の意味は五感をフルに使い、全身で感じることだ。
私は官能を次の5つの要素に分類している。
①異世界に迷い込んでいる
日本の風景とは思えないような、まるで転生してどこかの異世界に迷い込んだような、そういうクラクラとするような空間を歩いている感覚。
②広大で畏怖がある
広大な景色を前にすると、神の存在に接したかのような畏怖を感じる。自分がひたすら小さくなっていくようにも感じられる、そんな官能。
③変化に富み、足に快感がある
道は、変化に富んでいると楽しい。変化のたびに気持ちが入れ替わって新鮮さがよみがえる。そして足裏も疲れにくく、心地よい疲れを感じられるようになる。
④冒険心が満たされる
ときに道に迷ったり、冒険心でルートを探し求めていくようなことで、新鮮な発見や感動がある。冒険心は、官能の大事な要素である。
⑤霊性に畏怖を感じる
山道を歩いていると、古代の神が舞い降りてきそうな神秘的な場所に遭遇することがある。霊性を感じ、目の前を流れていく霊性に対して、手を合わせる感覚。
次の休日は、スペックや山頂にとらわれない「フラット登山」へ出かけてみてはどうだろうか。ただ気軽に、気持ち良く歩きながら、美しい風景に没入してみてほしい。



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