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ライフ #小さく暮らす

「働く犬はかわいそう」との声もあるけど⋯スキルス性胃がんで闘病中の還暦夫を支える6歳介助犬が「きっと幸せ」な理由

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こうちゃんが暮らしに加わり、夫が少しずつ外に出るようになりました(写真:筆者撮影)
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一緒に暮らすことで、どんどん絆は強くなっていきました。いつも寄り添ってくれます(写真:筆者撮影)

介助犬のユーザーになるための訓練は、夫がこうちゃんの能力を引き出し、ふたりで暮らしていくためのものです。こうちゃんはすでに介助犬としての仕事をしっかり身につけていて、落とし物を拾う、物を運ぶなどのお仕事はバッチリ。

夫が覚えるのは、こうちゃんに伝えるためのコマンドや、してほしいことを正確に伝える方法。そして、犬を健やかに保つためのお世話の仕方、公共の場所でも気持ちよく過ごせるようにするための衛生管理やマナーも学びます。

介助犬には人間の食べ物を与えないというルールがあるのですが……。もらえないとわかっていても料理中は見守りを欠かしません(写真:筆者撮影)

訓練は家の中だけではありません。ホテルで宿泊訓練をしたり、電車に乗る訓練をしたり。実際に一緒に出かけながら、公共の場でどう振る舞うか、夫がこうちゃんにどう指示を出すかを学んでいきます。

介助犬は、ただ「できる犬」がいればいいわけではありません。犬とユーザーが息を合わせて、初めてひとつのチームになります。そのための訓練なのです。

仕事も大好き、甘えるのも大好き

飲食店訓練。テーブルの下にプレイスマットを敷くと、そこに伏せてくれます。こうちゃんはお出かけが大好きで、お店の中でもルンルンです(写真:筆者撮影)

私はこれまで、元聴導犬や、のちに聴導犬になった子犬とも暮らしてきましたが、こうちゃんの「一緒に何かしたい」という気持ちは、ずば抜けています。

「働く犬はかわいそう」という意見もありますが、人間でも仕事が嫌いな人がいれば、仕事に生きがいを感じる人もいます。もちろん、犬をイヤイヤ働かせるのはよくありません。でも、こうちゃんは圧倒的に後者です。

訓練が始まると目を輝かせ、「次は何をするの?」と張り切っているのが伝わってきます。こうちゃんにとって介助の仕事は、大好きな夫と楽しむコミュニケーションなのだと思います。

25㎡・6畳1Kの古いマンションに、夫婦2人と介助犬が暮らしています(写真:筆者撮影)

寝る前には、夫がこうちゃんを労います。ゴロンと無防備にお腹を出して寝転がるこうちゃんを、たっぷりと撫でてスキンシップ。知能が高く、予測するのが得意なこうちゃんは、「そろそろかな?」と感じると、先回りしてゴロン。愛されることを喜び、その何倍もの愛情で返してくれる。

6畳1Kの狭すぎる部屋で過ごすふたりの姿は、見るたびに胸がギュッと締めつけられ、毎晩「今日が人生で一番幸せな日だった」と思わせてくれるほどの尊さです。

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