高市政権発足時に総務相に就任した林氏は、その後の10カ月余り、職務に精励する形で精力的に地方行脚を続けている。ただ、その際の講演などでは、あえて「ポスト高市」への意欲をにじませることも少なくない。林氏は高市首相と同学年の65歳で、70歳の茂木氏とともに「ポスト高市が最後のチャンス」とみられていることが背景にある。
そもそも林氏は、自民党内の「リベラルの砦」とされてきた旧岸田派のナンバー2だった。それだけに、党内保守派の中核とされる高市首相とは「政治的には水と油の関係」(自民党長老)であることは明らか。だからこそ、高市首相も林氏の処遇に悩むのだ。
その一方で、旧岸田派での林氏の立ち位置は「総理・総裁候補として盤石とはいえない」とされる。領袖だった岸田文雄元首相との関係は良好とはいえないからだ。両氏の仲介役とみられる有力議員も「2人だけでの会談でも、双方が本音を隠したまま」と苦笑する。
旧岸田派内では、岸田氏の最側近を自認していた木原誠二・元自民党選対委員長らが、昨秋の総裁選で小泉進次郎氏を支援したとされ、同派内での林氏支持は「現状でも半々が実態」といった厳しい指摘もある。
多芸多才な世襲エリートという素顔
林氏の経歴を振り返ると、「典型的な政界エリートの世襲議員」であることがわかる。
父親は林義郎元蔵相で、高祖父が林平四郎氏(衆院議員、貴族院議員)、祖父が林佳介氏(衆院議員)という世襲4代目だ。加えて、母親の林万里子氏の祖父は地元・山口の有力企業である宇部興産(現UBE)の創設者・俵田明氏。政界でも有数の家柄と資産の継承者だ。
政治家としての経歴を見ると、内閣官房長官、外相、文部科学相、農林水産相、防衛相と、重要閣僚を歴任。その一方で、党役員としては、いわゆる党4役に就いたことはない。だからこそ、政界関係者からは「党内閣の要職をほぼすべてこなした茂木氏とは、総裁候補としての格が違う」という指摘も少なくない。
そうした評価の一方で、三井物産時代に磨いた語学力は「政界でも一二を争う」とされている。さらに、ピアノなどの楽器演奏も「趣味の域を超えている」といわれ、外相時代の国際会議出席の際に、ビートルズの弾き語りなどで喝采されたこともある。まさに多芸多才な人物というわけだ。


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