――CIOとCISOを兼務されています。1人が担う方がよいとお考えですか。
サイバーセキュリティで最も大事なのはスピードです。攻撃は時間が経つほど被害が広がります。しかも最初から「これはサイバー攻撃だ」とわかるとは限らず、「システムの動きがおかしい」「通信が変だ」といった異変から始まることが圧倒的に多い。そして通常最初に情報が上がるのはCIOのラインです。
このため、CIOとCISOが別組織だと情報伝達や判断にタイムラグが生じる可能性があります。システムとビジネスを同時に理解し、その場で判断できる方が速い。私はCISOとは“経営目線も含めてサイバーセキュリティ全般を見る役割”だと考えているので、兼務にメリットがあると考えてきました。
ただ、最近はフロンティアAIの進展を見て考え方が少し変わってきました。やはりフロンティアAIを利用した攻撃で一番影響を受けるのは経営判断です。例えば攻撃は直接受けていないが他社の状況を受けてシステムを止める判断を行うなど、今後はビジネスや外部環境まで含めた判断がより重要になるためです。
また、会社の規模によってはCIOとCISOを分ける意味も出てくるでしょう。ただ、分けた場合にスピードをどう担保するかという課題は残ります。
システム障害で見直した報告の粒度と仕組み
――異変を早く察知するための工夫はありますか。
「予兆検知Teams」と呼んでいる社内の情報共有の仕組みがあります。社員が「何となくおかしい」「システムの動きがいつもと違う」「お客さまからこういう問い合わせが入った」など、小さな違和感を覚えた段階で、1人でため込まず気軽にみんなに事象を共有する仕組みです。
報告すると全社員に情報が届き、Teams上にスレッドができてみんなで書き込むことができます。これは会長や社長、役員も見ています。
――テックファーストでスピード感を重視する一方で、金融機関として堅い守りも必要になります。これをどう両立されていますか。とくに24年9月末のシステム障害(振込処理遅延と誤送金の発生)を受け、どのような対策を打ったのかについてもお聞かせください。
当該事案を発生させたことは金融機関としてはあってはならないことで、非常に反省しています。「月末の処理が重い」ことは、銀行業界ではよくある事象です。
問題は、処理の遅れそのものではなく、その影響で焦って行ったリカバリー作業において失敗をしてしまったことが原因です。あらかじめ経営にリカバリー作業の詳細について共有し、事前に手を打てていれば防げた話です。


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