漠然と「ハイブリッドは燃費が良くて買い得」と考えているユーザーもいる。実際に計算すると、1年間の走行距離が5000km前後では、前述の通りガソリン車との正味価格差は燃料代の節約で取り戻せないが、そこまで考えない人も多い。
また、ハイブリッドが生み出すイメージの影響も大きいだろう。今は国内で売られる乗用車の約半数をハイブリッドが占めるから「ハイブリッドを選べること」が、新車を買う大切な価値になったと言える。
もうひとつ、ハイブリッドの人気が高まった理由として、以前に比べて価格が割安になったという事情もある。
アルファードのハイブリッドは、ガソリン車よりも約80万円高いが、トヨタ「シエンタ」の「G」グレードでハイブリッドとガソリン車の価格を比べると、その差は34万7600円である。
ハイブリッドは自動車重量税も3万6900円安く、実質価格差は約31万円だ。ハイブリッドの買い得度が際立ち、シエンタでは国内販売総数の70~80%をハイブリッドが占める。
それでもクルマを安く手に入れたいユーザーにとって、ハイブリッドの車両価格は少なくとも35万円は高い。特にコンパクトカーでは、ハイブリッドのコスト比率が大きく、ガソリン車の1.2倍に達する。
しかも、コンパクトカーはボディが軽く、ガソリンエンジンも燃費を重視して開発されている。例えばトヨタ「ヤリス」では、直列3気筒1.5リッターのガソリン車でも、WLTCモード燃費が20km/Lを超えるのだ。
ハイブリッドの燃費はさらに優れているが、1年間に1万kmを走る場合、Gグレード同士で比べると、ハイブリッドの燃料代は年額4万7000円、ガソリン車では8万5000円だ。年額3万8000円の違いだから、価格の安いガソリン車で十分と考えるユーザーも少なくない。
メーカーに立ちはだかる「2030年問題」
それなのに、なぜガソリン車は次々と廃止されるのか。有力な理由のひとつが2030年度企業別平均燃費基準だ。
今の燃費基準は企業別の平均値で判断され、全車が一定の数値を達成する必要はない。平均値でクリアできれば良いが、2030年度の基準は厳しく、平均燃費目標値はWLTCモード燃費で25.4km/Lに達する。


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