「日々さまざまな施策を検討していますが、個々の施策という“枝葉”をいくら増やしても、“幹”がなければぶれてしまいます。中野区にも教育ビジョンはありますが、ほかの自治体と横並びのような文言で、個人的には少し弱いと感じています。区としてどんな教育を目指すのか、その“幹”を明確にする。そして、それを行政の一存で決めるのではなく、学校、保護者、地域など教育に関わる人たちと共に考え、決めていく土壌をつくる。そのうえで、現場で生まれる取り組みを応援していく。これが、これからの教育行政のあり方ではないかと思います。
そのためには、より多くの人が間接的にでも教育行政に関われる「場」をつくることが必要だ。
「教育委員でなくても、できることはあると思うんです。対話会や教育フェスなどいろんな入り口をつくり、保護者や地域の声が教育行政に届くようにする。そして、誰もが教育について考え、関われる開かれた場をつくっていく。そんな場をぜひつくりたい。そこからみんなで考えていきたいんです」
「子どもの代弁者」として教育行政に入る
21年12月〜25年12月に青森県教育委員会の教育委員を務めた新藤幸子氏。就任は、まさに「晴天の霹靂」だった。
「ある日突然、副知事から電話がかかってきて、『教育委員になっていただけませんか』と。いたずら電話かなと思ったくらい思いがけない話でした。おそらく、前任の委員の退任に伴い、県の内部で推薦してくださった方がいたのではないかと思っています」
4人の子どもを持つ新藤氏は、青森県十和田市で長年、子どもの居場所づくりや学校ボランティアなどに関わってきた。学区の小学校では週1回学校プレーパークを開き、月に1回放課後と長期休みに、町内会の集会所で居場所をつくるなど、地域の子どもたちと直接接してきた。教育委員を引き受けたのは、そうした子どもたちを見てきたからこそだった。
「家庭の問題など、さまざまなストレスを抱える子どもたちを見てきました。せめて学校は、嫌な思いをしてまで行く場所ではなく、行けば友達がいる、『学ぶことが楽しい』と思える場であってほしい。そのために、自分にできることがあるのではないかと思ったんです」
実際に教育委員になってみると、教育行政の仕事は想像以上に幅広かった。県の教育委員会が主に管轄するのは県立高校や県立の教育施設、教員採用、教員人事、研修など。小・中学校は市町村教育委員会の管轄であることも、就任して初めて知ったという。月に1〜3回開催された定例会では、教育政策のほか子どもの教育に関わるさまざまな議案が議論されていた。


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