1998年の創業以来、ネット広告業界を牽引し、その象徴とも言えるサイバーエージェント。業界首位をひた走ってきた同社が今、じりじりとあの“広告2強”に包囲されつつある。
前2025年9月期には、「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」など、ゲーム事業でヒットを連発。動画配信サービス「アベマ」を抱えるメディア&IP事業も黒字化し、営業利益は前期比約8割増の717億円という好成績を残した。
そんな景気のいい1年の中で、変調を来したのが祖業であるネット広告事業だ。
大口中の大口顧客である楽天グループが、ネット広告の運用業務を内製化。25年4~6月期決算、サイバーエージェントのインターネット広告事業は、楽天グループの離脱により、約5年ぶりとなる四半期ベースでの減収(前年同期比)に陥った。
通期では前期比6%の増収を確保したが、セグメント利益は176億円(同14%減)に後退。ここ数年はAI関連やDX系の新規事業にかかる人件費、GPU(画像処理半導体)の減価償却費などが利益を圧迫していたところに、大口顧客の離脱が重なった格好だ。
電博は2強体制を固め直そうとしている
懸念は業績面だけではない。ここへきて、業界における序列が後退しているのだ。
電通グループは、16年に設立したネット広告代理店・電通デジタルを育成しつつ、22年にサイバーエージェントの競合でもある同業のセプテーニ・ホールディングスを買収。25年末には博報堂DYホールディングスも、同じく業界の古豪・デジタルホールディングスを傘下に収めた。M&A(合併・買収)も駆使した両社による攻勢の結果、国内のネット広告市場において、サイバーエージェントは最新のシェアを3位まで落としている。
マス広告全盛の時代に蓄積した資本力をもってして、勃興したネット広告業界の主要プレイヤーたちをのみ込み、2強体制を固め直さんとする“電博”。彼らを前に、サイバーエージェントは第三極としてどこまで戦えるのか。
7月中旬、東京・渋谷の渋谷スクランブルスクエア上層階。サイバーエージェントの広告部門をAI関連などの側面から牽引してきた内藤貴仁常務は、「電博の包囲網に警戒感はないのか?やるからにはトップでいたいのでは?」という記者の問いに、不気味なほど涼しい顔をして、次のように返した。

