完璧主義を悪者あつかいする必要はありません。理想を高く持つこと自体は、立派な強みです。手放したいのは「不安をよけるための完璧主義」のほうだけ。今日から「準備70%で出す」を1つ試してみると、自分の中にある2つの完璧主義のうち、どちらが強く働いているのかが見えてきます。
才能の入り口は、いつだって、できあがっていない下書きの先にしか開かないのです。
社会人のほうが、不安に動かされやすい
シロワらのメタ分析には、もう1つ注目したい点があります。完璧主義的懸念と先延ばしの正の相関は、学生を集めたグループよりも、社会人を集めたコミュニティサンプルのほうが強く出ていました。
つまりこれは、「社会人になれば自然と気にしなくなる」という気楽な話ではありません。むしろ社会に出てからのほうが、不安に動かされる完璧主義が長く尾を引きやすいという、なかなか手ごわい現実を表しています。だからこそ、性格を責めるのではなく、行動の仕組みのほうを変えていく必要があるのです。
現場で役に立つ処方せんとしておすすめなのが、完璧主義の向け先を「できあがったもの」から「直す回数」へと移す方法です。1回で完璧な原稿を出そうとするのではなく、「1週間で下書きを3回まわす」という工程のほうをきっちり守るのです。
守るべき完璧さの置き場所をずらすだけで、不安を燃料にする完璧主義が、行動を前に進める完璧主義へと、少しずつ姿を変えていきます。シロワらの研究結果は、変えにくい性格を責める道具ではなく、どこを変えればいいかを考える手がかりとして読むのがよさそうです。



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