スティールがこのメタ分析から組み立てた「時間的動機づけ理論」のおもしろいところは、衝動性の高さと自己効力感の低さがかけ合わさって、やる気をいっそう削ぐと考える点です。
これを才能発見の話に置きかえてみましょう。目の前の刺激についつい反応してしまう性質と、「自分にはたぶん無理だ」という暗い見通し。この2つがかけ合わさったとき、人は新しい挑戦をいちばん先延ばしにしてしまいます。1つだけならなんとかなるクセでも、2つ重なると、才能の入り口に立つこと自体が遠のいてしまうのです。
「完璧主義」には実は2種類あった
もう少し準備してから始めよう、自信がついてから人前に出そう。こういう言葉は、ぱっと見るととてもていねいで慎重な態度に見えます。ところが才能を見つける場面では、この言葉こそがいちばんやっかいなブレーキになります。
準備が終わるのを待っている間に、書きかけの原稿、撮り終わらない動画、立ち上がらない副業が、未提出のフォルダの中でいつしか腐っていくのです。完璧主義は、努力しているような顔をしていますが、その正体は「上品な服を着た先延ばし」だと言ってもいいくらいです。
完璧主義と先延ばしのつながりを世界中のデータを集めて整理したのが、シェフィールド大学のシロワらの研究です。シロワらは、これまでに発表された数十本の研究を集めて、まとめて統計で分析し直すメタ分析という方法を使い、参加者およそ1万人分のデータを調べました。
すると、完璧主義の中でも、とくに「失敗するのが怖い」「人にどう見られるか気になる」というタイプ、いわゆる完璧主義的懸念は、先延ばしと深い関係があることが分かりました。つまり、このタイプの完璧主義が強い人ほど、行動を始めるのが遅くなりやすいのです。


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